PET scan-normal brain-alzheimers disease brain
写真: Health and Human Services Department, National Institutes of Health, National Institute on Aging : p.24 [1] / Public domain / Wikimedia Commons

シロシビン、LSD、2C-Bをラットに1回投与した研究で、脳の糖代謝と領域間の連動に薬物ごとの違いが見つかりました。人を対象とした別の脳画像研究でも、LSDとシロシビンで異なるネットワーク変化が報告されています。

3種の薬物で急性期の代謝パターンが分かれる

研究チームは48匹のラットを4群に分け、3群にはそれぞれ薬物を投与し、残る1群には生理食塩水を投与しました。投与前、投与後の急性期、1週間後にPET検査を行い、放射性の糖トレーサーが脳の各領域にどう分布するかを調べました。

シロシビンでは、習慣形成に関わる背側線条体と、感情処理や身体感覚に関わる島皮質で、脳全体に対する相対的な代謝の上昇が見られました。LSDでは大脳皮質の広い範囲で低下し、中脳や扁桃体、視床下部などで上昇しました。

2C-Bでは前頭皮質の低下と、ドーパミンを産生する中脳領域の上昇が見られ、全脳解析では中脳に特徴的な高代謝領域が現れました。島皮質の代謝上昇は2C-Bとシロシビンに共通していました。

1週間後にも一部の違いが残る

1週間後、投与直後に見られた代謝の上昇や低下の大半は弱まりました。それでもシロシビンでは島皮質の代謝上昇が残り、島皮質と前頭前野の活動の連動も強まりました。

この連動の変化は、複数比較の統計補正後にも残った唯一のネットワーク変化でした。シロシビンとLSDでは、皮質、辺縁系、中脳の複数領域に小幅な代謝低下も見られました。

一方、2C-Bで長く残った影響は主にドーパミン産生中脳の領域にあり、シロシビンやLSDで見られた持続的な皮質の変化は確認されませんでした。

受容体への作用の違いも背景にある

3種はいずれもセロトニン2A受容体に作用しますが、ほかの受容体への作用にも違いがあります。シロシビンの活性代謝物であるシロシンは、セロトニン1A受容体や2C受容体にも結合します。

LSDは複数のセロトニン受容体に加え、ドーパミン2・3受容体にも作用します。2C-Bにもセロトニン受容体への作用があり、ドーパミン系への作用も指摘されていますが、その性質は十分に明らかになっていません。

この受容体プロファイルの違いは、共通のセロトニン2A受容体への作用だけでは各薬物の働きを説明できない可能性と整合します。ただし、受容体への作用が今回のラット脳の代謝パターンを直接生んだことを、この研究が示したわけではありません。

人の脳画像でもLSDとシロシビンに違い

人を対象にした別の研究では、健康な参加者7人にLSDを投与し、PETとMRIを同時に使って脳を調べました。LSDは全脳の血流と内頸動脈の血流を増加させ、脳全体の活動の連動性を示す指標は低下しました。

LSDによる血流の増加が大きい参加者ほど、全脳の連動性の低下も大きい傾向がありました。また、別の参加者25人にシロシビンを投与したデータとの比較では、全脳の連動性に対する影響はLSDと逆向きでした。

ラット研究は糖代謝、人の研究は血流や活動の連動性を測定しており、両者の数値を直接比較することはできません。