
約400店の冷蔵・冷凍設備が攻撃対象に
フランスの複数の食品小売チェーンで、冷蔵・冷凍設備を遠隔管理するソフトウェアがサイバー攻撃を受けました。設備の温度が上昇し、食品の廃棄が発生しています。各社の公表値を合算すると、約1万5,000店のうち約400店が影響を受けたとみられます。
Coopérative Uでは100店超、Intermarchéと傘下のNettoでは計180店が標的になりました。Intermarchéは、冷蔵設備の温度が月曜未明に6時間にわたって50度に達したとし、健康上のリスクを避けるため、影響を受けた食品を廃棄したとしています。
Carrefourでは約6,000店のうち80店で設備が攻撃され、Monoprixは400店超の5%が影響を受けたと説明しました。状態を保証できない食品は販売から取り除かれました。Mousquetaires Groupによると、月曜午後も一部の陳列設備が使えず、商品を撤去して補充を進めていました。
遠隔管理システムが担う監視と操作
攻撃対象となったのは、デンマークのエンジニアリング企業Danfossが提供するソフトウェアです。小売業者はこれを使い、店舗の冷蔵・冷凍設備を遠隔から管理します。通常の夜間の霜取りでは温度が短時間わずかに上がりますが、今回は設備を加熱状態のままにする操作が行われました。
Danfossの監視・管理サービスは、冷蔵システムをクラウドに接続し、アラームの確認や対応の優先順位付けを行います。費用や食品ロスに直結するアラームを優先して対応できます。
同社のAlsenseは、食品小売向けのIoTクラウド型監視・管理ソフトウェアです。温度、湿度、エネルギー使用量を継続的に監視し、データを収集して店舗の状況を可視化します。アラームの受信や優先順位付け、対応が必要な際の通知にも対応します。
店舗側の制御機器とクラウドの接続
Alsenseでは、店舗内の制御機器とクラウドサービスの間に、双方向の安定した通信接続が必要です。店舗側の制御機器からクラウドへデータを送り、クラウド側からも機器と通信する構成です。
Danfossは、セキュリティ上の理由から、この接続にVPNを使うよう推奨しています。VPNは、店舗とクラウドの通信に使う接続方式の一つです。
今回の攻撃では、ハッカーが冷蔵設備の温度を調整するソフトウェアを操作しました。Danfossによると、影響したのはセキュリティソフトウェアを更新できない旧型設備です。同社は以前から、サポート対象のシステムを最新状態に保つよう企業に勧めていました。
食品の撤去と捜査が続く
各社は設備の復旧と食品の撤去を進めました。Coopérative Uの最高経営責任者ドミニク・シェルシェ氏は、冷蔵の専門家と連携して復旧にあたっていると述べ、食品供給に不可欠な設備を狙う行為を受けて捜査を求めました。
パリ検察当局は、複数の大手食品小売チェーンの冷蔵設備に影響した大規模なサイバー攻撃として、サイバー犯罪の捜査を開始しました。アルザス地方のスーパー2店では、合わせて27万ユーロの損失が報告されています。
欧州委員会の食品担当委員クリストフ・ハンセン氏は攻撃を非難し、食品安全にはあらゆる段階でより注意を払う必要があると述べました。









