
理想都市に潜む犯罪
ブラッド・バード監督の新作アニメーション映画『Ray Gunn』は、1939年の視点から見た別の未来を舞台に、私立探偵レイモンド・ガンが殺人事件に巻き込まれる物語です。バード監督は、未来をディストピアとして描く作品が多いなか、理想化された都市にも嘘や殺人がある世界を描いたと語りました。
舞台のメトロピアは、人間と異星人が共存する巨大都市です。建物は高さ1マイルを超え、マルチメディアスターのヴィーナス・ノヴァをめぐる事件にガンが引き込まれます。
バード監督は、理想的な環境に必死な登場人物を置くことに関心を持ったと説明しています。
1939年が思い描いた未来
1939年のニューヨーク万国博覧会では、楽観主義と未来志向が強く表れていました。ゼネラルモーターズの展示「フューチュラマ」は、自動車と高速道路が形作る将来の風景を提示しました。
同じ博覧会の「デモクラシティ」は、商業・文化の中心地を住宅地域が取り囲む都市像を描きました。こうした構想は、生活様式が大きく変わるという当時の見通しを映していました。
『Ray Gunn』の「1939年から見た未来」という設定には、当時の建築や交通への期待を重ねて読むことができます。万国博覧会が示した自動車中心の都市や未来的な生活像は、映画の巨大都市という舞台を捉える歴史的な手がかりになります。
私立探偵とフィルム・ノワール
ガンは私立探偵として、殺人や異星人が関わる事件を追います。アルス・テクニカの報道によると、彼はヴィーナス・ノヴァをめぐる事件に引き込まれます。
私立探偵が事件を調べる筋立ては、ハードボイルド探偵ものやフィルム・ノワールの定番です。バード監督は、この作品をフィルム・ノワールとハードボイルド探偵譚を基礎に、コメディーとアクションを加えたものと説明しました。
シカゴ国際映画祭の紹介では、ガンはヴィーナスを監視するよう依頼され、より大きな陰謀に巻き込まれます。映画祭は作品を、アール・デコ調の都市を舞台にしたレトロフューチャーなノワールとして紹介しています。
長い構想と音楽
バード監督にとって『Ray Gunn』は長年温めてきた企画です。以前、制作を実現しようとしたものの資金調達に至らず、企画をいったん保留し、『アイアン・ジャイアント』『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』などの制作に取り組んだと振り返りました。
作曲を担当したマイケル・ジアッキーノによると、ヴィーナス・ノヴァのオリジナル曲はニュージーランドの歌手・ソングライター、キンブラが作詞作曲しました。ジアッキーノは、ほかの音楽で作品世界の質感やテーマを組み立てたと話しています。
録音には1920〜30年代のマイクや80人編成のオーケストラを使い、ヴィンテージのシンセサイザーも一部に重ねました。









