ブルガリア沖でドローン攻撃、商船1隻が沈没 乗組員の救助続く
出典: mofa.go.jp

ブルガリア沖で2隻が攻撃を受ける

ブルガリア沖の黒海で2隻の商船がドローン攻撃を受け、1隻が沈没しました。ルメン・ラデフ首相はロシアの関与を疑う見方を示し、ロシア大使を呼び出しました。攻撃地点はいずれもブルガリアの領海外でした。

沈没した船はブルガリア沿岸のクラペツから東へ17海里の地点で沈み、乗組員1人が救助されました。もう1隻はウクライナ所有で、ビャラから18海里の海上でドローン3機に攻撃され、乗組員15人全員が救助されました。

ラデフ首相は、攻撃を受けた船の1隻はマルタ船籍の「チェルシー3」で、乗組員5人が軽傷の治療を受けていると述べました。沈没船の詳細は明らかにしていません。ロシア側は、この問題について軍から公のコメントを出していません。

領海と排他的経済水域で異なる沿岸国の権限

領海は、沿岸国が定める基線から最大12海里までの海域です。国連海洋法条約では、沿岸国の主権は領海だけでなく、その上空、海底、地下にも及ぶとされています。ただし、外国船舶にも条約上の無害通航権があります。

排他的経済水域(EEZ)は領海の外側に隣接する海域で、基線から最大200海里まで設定できます。沿岸国の権利と管轄権は、主に天然資源の探査・開発と、それに関連する活動に限られます。領海では海域全体に主権が及ぶため、EEZとは権限の範囲が異なります。

首相によると、攻撃地点は海岸から17海里と18海里で、条約が定める領海の最大幅を超えています。

穀物輸出は複数の経路に分散

国連、トルコ、ウクライナ、ロシアの合意に基づく黒海穀物イニシアチブでは、2023年7月にロシアが参加を終了しました。日本政府は終了時、合意が始まった2022年7月以降、穀物など3200万トン超が輸送されたと発表しました。

その後、ウクライナはドナウ川の港と欧州連合(EU)国境を通る経路を活用し、2023年10月には黒海の主要港であるチョルノモルスク、オデーサ、ピウデンヌイの運用を再開しました。米農務省の報告によると、2022年から2023年にかけて、ウクライナの穀物・油糧種子の海上輸出比率は69%から80%に上昇しました。

米農務省によると、ミコライウ港は2022年の第2四半期以降、航行に使えない状態です。代替ルートには、ウクライナ国内の西部・東部・中部からイズマイル港またはルーマニアのコンスタンツァ港を経由し、エジプト、トルコ、チュニジアへ運ぶ経路が加わりました。

船舶攻撃で輸出量や価格に影響

2026年夏にはロシアとウクライナ双方による船舶や港湾インフラへの攻撃が続き、黒海の商船航行がさらに滞りました。ガーディアンは、トルコの船員組合の推計として、7月に35隻が攻撃され、23人が死亡したと報じています。ウクライナの食料相は、同国が8月に海路・鉄道・河川・道路で輸出できた穀物は、輸出可能量の約3分の1だったと述べました。

米農務省の報告によると、2022年から2023年にウクライナの小麦輸出は1120万トンから1610万トンへ増え、トウモロコシは3%、大豆は71%増加しました。これらは2023年までの輸送・輸出状況を示す数値で、2026年の攻撃後の輸出量とは時期が異なります。

CSISは、ロシアとウクライナの攻撃により、2026年7月以降、両国の主要な穀物輸出港で船舶の往来が大きく減ったと分析しています。CSISによると、8月前半の穀物輸出は2025年の同時期と比べて75%減少しました。また、同機関は代替ルートの輸送能力が黒海やアゾフ海の港に及ばず、費用も高いと指摘しています。

責任をめぐる主張と周辺国の対応

ラデフ首相は、今回の攻撃について「どちら側にも決定的な証拠はない」としたうえで、結果がロシア連邦の利益になるとの見方を示しました。また、ブルガリア領海のすぐ近くで商船が攻撃されたことを「到底受け入れられない」と述べ、NATO事務総長マーク・ルッテと話す意向を示しました。

ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、商船への攻撃が民間人の命と黒海の海上安全を軽視するものだと批判しました。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も、黒海が戦争の新たな緊張の場になっていると述べています。ロシアは、ウクライナの港へ武器や軍民両用貨物を運ぶ船舶を標的にしていると主張する一方、ウクライナと欧州の同盟国は、穀物など民間貨物を運ぶ商船が攻撃されているとしています。

ブルガリアはNATO加盟国で、ラデフ首相は10月6日の攻撃を調べるため、NATOとEUに技術支援を求めていました。