
ローマの飲食店ガイドで紹介される38店には、家族経営のトラットリアや現代的な小皿料理店、チョコレート専門店などがあります。定番のパスタや内臓料理に加え、移民コミュニティの食文化や自然派ワインを取り入れる店も掲載されています。
定番料理を支えるローマの食文化
家族経営のトラットリアでは、カチョ・エ・ペペやカルボナーラ、子羊のローストなど、ローマを代表する料理が受け継がれています。内臓料理もその一角を占め、食肉処理場の歴史と結びついてきました。
内臓料理は「クイント・クアルト」、直訳すると「第五の部位」と呼ばれます。牛や豚などの主要な四つの肉の部位に含まれない、内臓や頭、尾などを指す言葉です。
ローマの食肉処理場では、19世紀末、牛の皮をはぐ作業を担った労働者が賃金の代わりに内臓を受け取っていました。労働者の妻や宿屋の料理人が調理したことが、クイント・クアルト料理の形成につながったとされています。
季節の料理と予約の実務
春の短い時期には、アーティチョークと出始めの豆類、レタスを煮込むヴィニャローラが食卓に上ります。2月から3月にかけて、冬から春へ移る時期の料理です。
掲載店には、季節のローマ料理を出す店のほか、エミリア=ロマーニャ州の料理を提供するコッリーネ・エミリアーネもあります。同店は1931年から営業し、卵を使った自家製パスタや煮込み肉料理を扱っています。
人気店では数か月前から予約が入ることもあり、直前の席の確保が難しい場合があります。オンライン予約が広がる一方、電話で受け付ける店もあります。電話をかける時間の目安は、営業開始直後か終了間際です。
ネオ・トラットリアが定番を組み替える
ネオ・トラットリアは、伝統的な近所の食堂を現代的に再構成する動きです。旬の食材や自然派ワイン、現代的な調理法を取り入れながら、歴史的なローマ料理にも目を向けています。
定番料理を残す店がある一方、食材の組み合わせや献立を変える店もあります。アマトリチャーナやカルボナーラ、カチョ・エ・ペペを守りつつ、地域の食材や別の料理文化を取り入れる店もあります。
テスタッチョのコンチャボッカでは、カルボナーラなどの定番料理に加え、ズッキーニとボッタルガを合わせたバオや、青梗菜を使った牛肉料理を提供しています。シェフのジュリオ・ブルトーネは、伝統に根ざしながら新しい料理も出す方針を語っています。
店ごとに異なる食事の楽しみ方
自然派ワインと小皿料理を組み合わせるヴェトロは、ローマやヨーロッパ各地の要素を取り入れています。タコスのように手で食べるギルダや、舌肉とサツマイモ、ピキージョペッパーを合わせた料理などを提供しています。
コロンビア出身のシェフ、ロイ・カセレスが手がけるオルマには、ビストロ、カクテルバー、レストランの異なる空間があります。ビストロでは昼食向けの料理を、レストランではイタリアの食材とシェフのコロンビアのルーツを組み合わせたコースやアラカルトを提供しています。
ローマの中心部では、パンテオン近くのアルマンド・アル・パンテオンが家族経営でローマ料理を出し、冬には煮込みアーティチョークなどを扱います。食後には、手作りのチョコレートを80種類以上そろえるモリオンド・エ・ガリリオも選べます。
長く続いた店の伝統を引き継ぐ例もあります。セッティミオ・アル・ペッレグリーノは90年以上、日替わりの固定メニューでローマ料理を提供しています。現在はトラットリア・ダ・チェーザレの関係者がその伝統を受け継いでいます。
ダ・チェーザレ・アル・ペッレグリーノでは、市場の仕入れに応じて曜日ごとに料理を変え、元の店舗で親しまれた料理も提供しています。






