漫画『HUNTER×HUNTER』の作者・冨樫義博氏は10月5日、心身の健康上の問題を理由に、現在引き受けている依頼を終えた後は、締め切りのある新たな仕事を断る方針をXで明らかにしました。自身の原稿に専念するための判断で、執筆そのものをやめるわけではありません。

『HUNTER×HUNTER』は6月29日に連載を再開した後、9月7日から再び休載に入り、掲載は第420話まで進んでいます。一方、冨樫氏は9月15日、第428話の原稿を完成させたと伝えており、休載中も制作の進捗を公表しています。

第428話の原稿が完成、単行本は第39巻まで刊行

集英社は7月3日、『HUNTER×HUNTER』の単行本第39巻を発売しました。新刊の刊行は22カ月ぶりで、作品の累計発行部数は電子版を含めて1億部を超えています。

腰痛で椅子に座れず、従来の描き方を変更

冨樫氏は以前から、腰の状態が執筆や日常生活に及ぼす影響を説明していました。2022年の原画展「冨樫義博展 -PUZZLE-」に寄せた直筆メッセージでは、約2年間、椅子に座れない状態のため描けなかったと述べています。そのうえで、従来のやり方をあきらめ、当時は何とか執筆を再開していると説明しました。

生活上の動作にも支障があり、メッセージを書いた時点の2週間前までは、排便後に体を拭く姿勢を取れず、その都度シャワーを浴びていたとしています。また、あらゆる動作に通常の3〜5倍の時間がかかるとも述べていました。

週刊連載に固定しない方針は2023年に決定

『HUNTER×HUNTER』は2023年1月にも、冨樫氏の健康上の問題を理由に休載しました。集英社は当時、冨樫氏と相談した結果、以後は週刊連載の形式に沿わずに掲載することを決めたと説明しています。編集部は、再開や今後の掲載形式について具体的な内容が決まり次第、誌面で知らせるとしていました。

その後、第401〜410話は『週刊少年ジャンプ』の2024年45号から2025年2号に掲載されました。冨樫氏は手術を受け、2024年12月には、さらに2話分のネームを作成したことも伝えています。

ネームの作成と原稿完成は異なる制作段階

冨樫氏の進捗報告に登場する「ネーム」は、作画前にコマ割り、人物の配置、せりふ、各ページに収める内容を検討するためのラフな設計です。一般的な制作の流れでは、物語やあらすじを考えてネームを作り、その後に原稿の下描き、ペン入れ、仕上げへ進みます。

原稿を出版物にする際には、印刷用のデータを整える「製版」の作業もあります。製版に携わるKen太郎氏は、絵とせりふのテキストを受け取り、文字を入力する場合には編集者が校了時に確認すると説明しています。印刷前には文字の大きさやせりふの校正なども行われるため、作者の原稿完成と雑誌への掲載は、工程上も別の段階です。

『HUNTER×HUNTER』は1998年に『週刊少年ジャンプ』で連載が始まりました。これまでに2つのテレビアニメシリーズ、2本のアニメ映画、複数のオリジナルビデオアニメや舞台作品へ展開されています。