
Neu5Gcの摂取量と糖尿病リスク
赤身肉に含まれる糖の一種、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)の摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが63%高いという観察研究の結果が報告されました。研究は約9万人を対象にしており、赤身肉と糖尿病の関連には、体重以外の要因も関わる可能性を示しています。
この結果は、Neu5Gcが糖尿病を引き起こすと証明したものではありません。赤身肉の総摂取量を考慮すると関連は弱まり、統計的に有意ではなくなりました。研究者らは、Neu5Gcそのものと赤身肉に含まれるほかの成分のどちらが関係するかを特定できていません。
Neu5Gcは牛肉や羊肉に多く、乳製品にも少量含まれます。研究では、肉由来のNeu5Gc摂取量が多い群ほどリスクが高まる傾向がありましたが、乳製品由来の摂取量と糖尿病リスクの上昇には関連が見られませんでした。
約9万人を7年以上追跡
対象はフランスの栄養・健康に関する追跡研究に参加した89,953人で、開始時の平均年齢は42歳、79%が女性でした。参加者はそれぞれ24時間分の食事記録を3回提出し、食品データベースを使ってNeu5Gcの摂取量が推定されました。
追跡期間の中央値は7.2年で、新たに2型糖尿病と記録された人は966人でした。研究チームは男女別に肉由来Neu5Gcの摂取量を5群に分け、最も少ない群を基準に発症リスクを比較しました。
年齢、性別、運動習慣、食事全体の質、喫煙、既存の健康状態などを考慮した後も、最も摂取量が多い群ではリスクが63%高く、2番目に多い群では41%高い結果でした。肥満の影響を加えて調整すると関連は弱まりましたが、有意性は保たれました。
肉の摂取量を指標にした既存研究
2024年のメタ解析は、20カ国の31コホートから約197万人を集め、10万人を超える新規発症例を調べました。未加工の赤身肉は1日100グラム多い場合に発症ハザード比1.10、加工肉は1日50グラム多い場合に1.15となり、どちらも摂取量の増加とリスク上昇に関連しました。
同じ解析では、鶏肉も1日100グラム多い場合にハザード比1.08でした。鶏肉の結果は分析条件によって関連が弱まり、肉の種類によって推定値や結果の確かさに差があります。
このメタ解析は、肉の摂取量が一定量増えた場合の関連を示しています。一方、Neu5Gc研究の63%は、摂取量を5群に分けたうち、最も多い群と最も少ない群を比較した結果です。対象や比較方法、指標が異なるため、両方の数値をそのまま比べることはできません。
炎症との関連は仮説段階
人はCMAH遺伝子の変異によりNeu5Gcを体内で作れませんが、食事由来のNeu5Gcが一部の組織に取り込まれることや、Neu5Gcに反応する抗体が人に存在することは、これまでの研究レビューで扱われています。
Neu5Gcが組織に取り込まれると免疫反応や慢性的な炎症につながる、という仕組みが提案されています。今回の研究では、こうした反応が糖尿病の発症を促すかどうかを直接測定していません。
研究は観察研究で、食事記録からNeu5Gc摂取量を推定しています。追跡中の食生活の変化は考慮されておらず、記録されていない生活習慣などが結果に影響した可能性もあります。研究チームは今後、Neu5Gcに対する抗体を直接測定し、ヘム鉄など赤身肉のほかの成分との関係も調べる予定です。










