別離の苦痛を進化的な視点から捉える集団療法
ルーマニアの研究チームは、進化的な視点を取り入れた集団心理療法を、抑うつ症状のある成人61人で予備的に検証しました。治療を受けた人は待機群より1週間後の症状が大きく改善しましたが、3カ月後には群間差が統計的に有意ではなくなりました。
この療法は、認知行動療法(CBT)を基礎にした認知進化療法(CET)を、短期集中の集団形式にしたものです。CBTは思考、感情、行動のつながりを扱い、CETはそこに、所属感や親密な関係、安全に関わる進化的なニーズという視点を加えます。
たとえば、パートナーとの別離を「自分に価値がないからだ」と捉えて人付き合いを避けると、孤独が深まることがあります。研究者のミハイ・ドブロヴォルスキ氏は、喪失が祖先にとってどれほど重大だったかを考えることで、自分を責める代わりに、苦痛への対処を考えやすくなると説明しました。
2日間、計16時間のプログラム
参加者は治療群31人と待機群30人に無作為に割り付けられました。治療は5〜7人のグループで、連続する2日間に各8時間行われました。
参加者は事前に生活上の困難を把握する質問票に回答し、セッションでは治療者がグループの前で一人ずつと取り組み、その後に構造化されたフィードバックと話し合いを行いました。セッション間の宿題は設けられていません。
症状の評価には、抑うつ、不安、ストレスを測るDASS-21の抑うつ尺度が使われ、治療前、1週間後、3カ月後に調査されました。抑うつ尺度は0〜42点で、点数が高いほど症状が重いことを示します。
1週間後に改善、3カ月後の差は有意でなくなる
1週間後、治療群は待機群より抑うつ症状の点数が調整後で7.49点低く、統計的に有意な群間差がありました。効果量を示すHedgesのgは-1.25でした。
3カ月後の調整後の差は3.14点に縮まり、統計的有意性は認められませんでした。研究者は、比較的小規模な参加者数では、意味のある効果が持続したかを確信をもって判断できないと述べています。
不安と生活満足度にも、待機群と比べて改善が報告されました。3カ月後には知覚されたストレス、1週間後には探索的評価項目の睡眠の質にも改善が見られましたが、複数の評価項目を考慮した調整後には、いくつかの効果が統計的に有意ではなくなりました。
次の検証で問われる治療の持続性
治療群に割り付けられた31人のうち6人は参加せず、実際に治療を受けたのは25人でした。待機群では7人が3カ月後の評価までに追跡から外れ、参加者の多くは女性でした。
治療を担当したのは1人で、参加者の募集とグループ分けにも関わっていました。また、共著者の一人はCETと治療マニュアルを開発しており、研究チームは開発者が自身の療法を評価する際の偏りの可能性を認め、独立した再検証を求めています。
正式なうつ病の診断は参加条件ではなく、評価は自己申告に基づいています。待機群との比較だけでは、既存の治療法に対する優位性や、進化的な説明そのものの寄与を判断できません。
今後は、標準的な集団CBTなどの能動的な比較対象を設け、異なる治療者や地域での再検証、臨床家による評価、より長期の追跡を行うことが課題です。研究チームは、効果がより厳密な条件で再現され、持続性も確認されれば、短期間で実施できる点が臨床面や実用面で重要になり得ると述べています。









