
スペインの風力発電所で死亡率が低下
スペイン南部カディス県のエル・ルエド風力発電所で風車の翼1枚を黒く塗ったところ、塗装した風車の鳥の年間死亡率は、白い翼の風車と比べて約74%低くなりました。風車の回転翼を鳥が認識しにくくなる問題に対し、翼の色を変える方法を長期間の現地調査で検証しました。
運営するAcciona Energíaは、20基のうち4基で、3枚ある翼の1枚を2020〜2021年に黒く塗りました。残る16基は白い翼のまま対照群とし、研究者は2012年から2024年まで、全20基の下で毎日、鳥の死骸を探して記録しました。
調査では、塗装前と塗装後の記録を比較しています。約74%という数値は、塗装した風車と対照群の年間死亡率の差です。
回転翼が見えにくくなる仕組み
研究者が仮説として挙げるのは「モーションスミア」です。翼が高速で回ると、網膜がその動きを捉えきれず、翼がぼやけて見える現象を指します。
白い翼だけで構成されたローターでは、回転する翼の見え方が似通います。研究者は、1枚だけ黒くして見た目の均一さを崩せば、鳥が回転翼を障害物として認識しやすくなる可能性があると考えています。
ノルウェーの実験では、4基の風車で翼1枚を黒く塗り、塗装した風車の鳥の死亡率が約72%下がりました。研究者は、翼の見え方の変化が実際の衝突回避につながるかを、現地調査の結果と合わせて評価しています。
南アフリカでは赤い縞模様を検証
南アフリカのホープフィールド風力発電所では、別の方法として、4基の風車の翼1枚に幅広い赤い縞を2本塗りました。塗装は2023年に行われ、黒色ではなく赤色を使ったのは、高い構造物への黒色塗装に関する南アフリカの航空当局の制約によるものです。
この研究では、塗装後32カ月に記録された鳥の死亡25件のうち、23件が対照群の風車で、塗装した風車では2件でした。統計分析による死亡率の減少幅の中央値は83%で、比較対象によって信用区間は14〜98%、または30〜97%でした。
スペインの黒い翼と南アフリカの赤い縞模様は、塗装の色や形、調査場所が異なる実験です。南アフリカの研究者は、赤い縞の効果に高いコントラストや警告色としての作用が関係する可能性を挙げています。また、色と模様のどちらが寄与したかを分けて確かめる追加実験を求めています。
地域ごとの検証と導入上の課題
風車の翼を塗る実験では、スペインやノルウェーで死亡率の低下が報告された一方、オランダでは有意な減少がありませんでした。
スペインの風車は稼働中に塗装されました。研究を率いたRoel May氏は、稼働中の翼を塗る作業は難しく費用もかかる一方、製造時に塗装する方が容易で安価だと説明しています。
メーカーは、黒い塗料で翼が熱を持ちやすくなることや、重量が変わることへの懸念から、導入に慎重だとMay氏は述べています。May氏は、導入規模を広げて効果を監視し、現場で知見を得たいと述べています。







