
中国の半導体メーカー、長鑫科技(CXMT)は、第5世代DRAMの量産開始を発表しました。同社は独自の露光技術による微細化に加え、記憶密度の向上と消費電力の低減を掲げています。露光は、回路のパターンをウエハー上に形成する製造工程です。
CXMTが発表した第5世代DRAM
CXMTは第5世代DRAMの量産に入ったと発表し、独自の露光技術で回路を微細化したとしています。また、ウエハー1枚から生産できるチップ数が5割増えると説明しています。
CXMTが掲げる改善点は、記憶密度と消費電力です。記憶密度は、一定の面積にどれだけのデータを記録できるかを示します。回路を細かく形成し、同じ面積により多くのメモリーセルを配置できれば、チップ当たりの記憶容量を高められます。
DRAMは、データを一時的に記憶する半導体メモリーです。露光技術は、ウエハー上に作る回路パターンの細かさに関わるため、微細化や集積密度を左右する製造技術の一つです。
露光の波長と回路の微細化
マイクロンの1γ(1ガンマ)DRAMは、波長13.5ナノメートルの極端紫外線(EUV)露光を採用しています。EUVは短い波長の光でウエハー上に微細なパターンを作る方式です。マイクロンは、1β世代の16ギガビットDDR5製品と比べ、ウエハー当たりのビット密度が30%以上高まったとしています。
マイクロンによると、微細なパターン形成でトランジスターを小型化し、チップ内により多くのデータを記録できるようになります。同社は、1γ世代では回路設計やレイアウトも最適化し、最大9,200MT/秒の速度と、従来世代比で20%以上の消費電力削減を実現したと説明しています。
露光方式は、光源の波長だけで決まるものではありません。富士通は1996年、4ギガビットVLSI向けのArF露光技術を開発したと発表しました。ArFエキシマレーザーの波長は193ナノメートルで、富士通によると、従来の水銀ランプの365ナノメートルより短い波長を使います。
富士通によると、位相シフトマスク技術で光の位相を調整すれば、従来の露光装置でもより微細なパターンを形成できます。露光技術は、光の波長や光学系に加え、マスクやレジストなどの工程要素とも関わります。
SKハイニックスが導入した高NA EUV
韓国のSKハイニックスは、利川市のDRAM工場「M16」に、ASMLの高NA EUV露光装置「TWINSCAN EXE:5200B」を導入しました。高NAは、光を集める能力を示す開口数(NA)を大きくし、より細かな回路を解像する技術です。
日経クロステックによると、装置のNAは従来の0.33から0.55に高まり、1回の露光で解像できる線幅は約13ナノメートルから約8ナノメートルになります。SKハイニックスは、従来のEUVと比べて回路を1.7倍精密に形成でき、集積密度を2.9倍にできると説明しました。
SKハイニックスは2021年、M16で同社として初めてEUV露光をDRAMの量産に導入しています。今回の装置は高NA EUVの量産対応機です。SKハイニックスは、従来のEUV工程を簡素化し、次世代メモリーの開発を進める方針を示しました。
世代ごとの技術を比べる視点
各社の説明には、世代名や比較対象、性能指標の違いがあります。マイクロンの密度や消費電力の数値は同社の1β製品との比較であり、SKハイニックスの集積密度の数値は従来EUVとの比較です。これらの数値をそのままCXMTの製品と比較することはできません。










