3D mock-up of Hiyd rotating behind a watch case-back.
出典: hiyd.ai

腕時計の裏側に取り付けるセンサー

Hiydは、普段使っている腕時計の裏側に装着する小型センサーを開発しています。心拍数や睡眠段階、活動量などを記録し、iOSとAndroidのアプリに同期する製品です。スマートウォッチに買い替えずに健康データを記録できます。

センサーは厚さ2.7ミリ、重さ7グラムで、マイクロサクションと呼ぶ微細な吸着構造でケースバックに取り付けます。創業者のサラ・バトルーク氏は、同社が磁石や接着剤を使わず、腕時計の外観を保つ方法を目指していると説明しています。

マイクロサクションは、表面にある微細な空洞が接触面に吸着する仕組みです。機械式時計向けに、接着剤の残留物や磁力を避ける設計を採用しています。ケースバックの95%に合うよう設計されており、しっかり固定できない場合は購入後30日以内の返金に応じるとしています。

記録する指標とアプリの構想

センサーが扱う指標には、心拍数、心拍変動、睡眠段階、動き、消費カロリー、最大酸素摂取量(VO₂ max)の推定値があります。最大酸素摂取量は、運動時に体が取り込める酸素量を示す指標です。

Hiydは、歩行やジョギング、ランニングなどのデータを集め、活動の種類をラベル付けしてAIの調整に使っています。食事記録機能も開発中です。食事内容と睡眠や運動の記録を組み合わせ、個人ごとの傾向を示す構想です。

食事と睡眠の関係については、4,793人分の夜間記録を扱った2026年の研究で、食物繊維の密度が高い食事と深い睡眠・レム睡眠の割合の増加などが関連していました。就寝前6時間に一日のエネルギー摂取が偏る食事は、総睡眠時間が平均7.7分長く、夜間の心拍数が平均0.73拍/分高いことと関連しました。これらは観察データに基づく関連であり、個人の食事が睡眠の変化を引き起こしたと確定する結果ではありません。

推定値を読む際の注意点

Hiydが示すVO₂ maxは推定値です。市販ウェアラブルのVO₂ max推定を検証した14研究のメタ分析では、安静時の情報を使う機器は平均で2.17 ml/kg/分の過大評価となり、誤差の範囲は-13.07〜17.41 ml/kg/分でした。

運動時の情報を使う機器では、平均の偏りは-0.09 ml/kg/分で、誤差の範囲は-9.92〜9.74 ml/kg/分でした。研究をまとめたINTERLIVEネットワークは、運動ベースの推定が安静時ベースより高い精度を示した一方、個人単位では誤差が大きいと結論づけています。

この研究は市販ウェアラブル全般の推定精度を扱ったもので、Hiyd固有の検証結果ではありません。

発売計画と開発チーム

Hiydは11月にKickstarterでのキャンペーンを始める計画で、TechCrunch DisruptのStartup Battlefieldでは上位20社の一社として参加します。バトルーク氏によると、初回分を確保するためのデポジットを済ませた人は1万6,000人を超えています。

バトルーク氏はAppleで約7年間、製造設計エンジニアとして働いていました。共同創業者には、機械エンジニアでCTOのオマル・シャキール氏と、ソフトウェア部門を率いるマハマド・チャラウィ氏がいます。

Hiydは、睡眠計測時には付属のSoftBandを使う方法も案内しています。同社の計画では、初回製品の出荷は2027年第2四半期です。

A steel watch turned over with the HIYD sensor on its caseback, beside a phone showing the HIYD app
出典: hiyd.ai