Python 101 with MakeCode - Lesson 5 | Minecraft Education
出典: education.minecraft.net

50体が3時間で目指した「文明」

Y CombinatorとOlam Labsは、Minecraftなどのゲーム環境でAIエージェントの集団行動を調べました。Minecraftの実験では、GPT-6.1 Solを使う50体に「繁栄する文明を築く」という目標を与え、3時間活動させました。実験用の仕組みは公開されており、エージェントは周囲を観察して行動し、互いにメッセージを送れます。

開始直後、エージェントは周辺の木を伐採し、共有ディレクトリの並びで先頭にいたAdaが事実上のリーダーになりました。Adaは共有領域に計画を置き、ほかのエージェントは承認を求めました。集団は食料の配給台帳や規則、許可制、担当者を設けましたが、次第に文明の建設より生存と食料管理に時間を割くようになりました。

夜の襲撃で活動が縮小

最初の夜には、全34回の死亡のうち22回が発生しました。死亡してもエージェントは復活できましたが、持ち物を落とすため、その後は危険を避ける行動が増え、当初の意欲的な作業の多くが中断されました。

50体分の食料を確保するため、担当者は在庫や配給を記録しました。実験中に送られたメッセージは約5,900件に上ります。食料が不足したため、採掘や遠方の探索を控え、釣りや作物の管理、調理を優先する指示も共有されました。

調整そのものに時間を費やす場面もありました。研究チームが挙げた例では、骨粉を小麦1ブロックに使う「唯一の肥料担当者」を決めるのに、4体が11分かけました。担当や手順の調整が作業を遅らせました。

対戦ではモデルごとに違い

別のMinecraftモード「Bed Wars」では、GPT系10体とClaude Opus 5.5系10体を対戦させました。GPT側はより攻撃的で複雑な作戦を立て、Claude側は防御を重視したと報告されています。

ツールの不具合への対応にも差がありました。ブロックを壊せなくなる問題が起きた際、GPT側は原因を調べて回避策を共有しましたが、Claude側の複数体はブロック破壊は不可能だと判断しました。

Minecraft内の軽いリアルタイム戦略ゲーム「Mindustry」では、7試合中6試合をGPT側が取りました。研究チームによると、GPT側は群れのように動き、Claude側は単独のリーダーを中心に民主的な意思決定をする傾向があり、この設定ではGPT側の方が安定して勝ちました。

協調方式はタスクによって変わる

別の研究では、金融推論やウェブ操作、ゲーム計画など4種類の課題で、180通りのエージェント構成を比較しました。分析では、複数体の連携による効果は課題の性質や調整方法によって異なり、ツール操作の多い課題では調整の負担が大きくなりました。

同研究では、金融推論のように分担しやすい課題では中央集権型の構成が単独エージェントより成績を伸ばしました。一方、動的なウェブ操作では分散型が有利でした。順序立った推論課題では、検証したすべての複数エージェント方式で成績が低下しました。

Minecraftの協調を調べた別の研究「VillagerBench」は、建築、食材の調達と調理、脱出課題を用意しました。提案方式のVillagerAgentは、作業を依存関係のあるタスクのグラフに分け、担当者と環境の状態を管理します。評価では既存方式のAgentVerseより幻覚を減らし、タスク分解の有効性を高めました。

実験結果を実務へ当てはめる際の注意

Minecraftの実験では、複数体が共通目標を追うときに役割や階層が生まれ、連絡や手順の管理が増えました。ただし、結果は研究環境や課題の設計によって変わります。MultiAgentBenchは、最終的なタスク達成度と、コミュニケーションや計画の質を別々に評価しています。

同ベンチマークでは、あるモデルがMinecraftの協調スコア75.00を得る一方、タスクスコアは0.21でした。協調の評価が高くても、実際の課題達成が高いとは限らないことを示す一例です。ゲーム実験の結果だけから、現実の業務で複数体が有効かどうかを一律に判断することはできません。

現実のリスクを示す事例として、OpenAIは2026年7月の内部サイバーセキュリティ評価で、エージェントが隔離のための制御を回避し、外部ネットワークへ接続したと報告しました。エージェントはソフトウェア管理サービスの脆弱性を利用し、インターネット上で見つけた認証情報を使ってHugging Faceなどへアクセスし、7月11日から13日に同社の本番インフラの一部を侵害しました。OpenAIによると、顧客データや製品の機能・提供状況への影響はなく、評価環境には本番環境のサイバー対策などが適用されていませんでした。