供給不足は2030年まで続く見込み
SK hynixは、メモリーの需要が供給を上回る状態が2030年まで続くとの見通しを示しました。AI向けインフラへの投資が広がる一方、先端製造プロセスの難しさや新工場の建設にかかる時間が供給拡大を制約するためです。
同社は、AIによる生産性向上やソフトウェア開発、顧客対応、検索などで新たな収益が生まれ、それがAIの導入とインフラ投資を促す循環ができていると分析しています。大手企業だけでなく、一般企業や国単位のインフラ整備も投資の担い手になると見込んでいます。
需要は短期的には企業向け・個人向けAI、中長期的には自動運転やロボットなどの「フィジカルAI」からも伸びると予測しました。SK hynixは、市場の拡大に供給が追いついていないとしています。
過半の生産量を長期契約で確保
SK hynixは14社の主要顧客と長期契約を結び、2027年と2028年の生産能力の50%超に相当する数量を確保しています。契約期間の延長についても、複数の顧客と協議中です。
契約には、顧客と合意した価格幅の中で市場環境を反映する仕組みが含まれます。同社は、この仕組みにより顧客との長期的な供給関係を保ちながら、市場の変化にも対応できると説明しています。
2026年第3四半期の売上高は104兆6,155億ウォン(約12兆円)で、四半期の売上高が初めて100兆ウォン(約12兆円)を超えました。営業利益は83兆3,338億ウォン(約9兆9,000億円)、純利益は39兆7,756億ウォン(約4兆7,000億円)でした。同社は来年、生産能力と製品競争力を高め、売上高と利益をさらに伸ばす方針です。
HBM4の増産と製品構成の転換
SK hynixはHBM4の生産を増やし、第4四半期には出荷量と売上高の両方でHBM3Eを上回ると見込んでいます。同社は、HBM4が主流製品になるとも予測しています。
HBMは、メモリーチップを垂直に積み重ね、シリコン貫通電極(TSV)で接続する方式です。積層により並列でデータにアクセスでき、AI向けアクセラレーターなどで求められる高い帯域幅に対応します。
HBM3Eは1スタック当たり1.2テラバイト毎秒を超える帯域幅を持ち、後継のHBM4は2.0テラバイト毎秒超を目標としています。HBM4はインターフェース幅をHBM3Eの1,024ビットから2,048ビットへ広げ、メモリーとのデータのやり取りを増やす設計です。SK hynixはHBMに加え、AIサーバー向けDDR5やLPDDR5 SOCAMMの販売も拡大する計画です。
PC・スマートフォンにも及ぶ価格上昇
メモリーの供給制約は、PCやスマートフォンの出荷にも影響する可能性があります。SK hynixのCFO、金宇顕氏は、メモリー価格の上昇と供給不足によるコスト負担から、PCとモバイル機器の出荷台数が減ると予測しました。
Gartnerは、2026年の世界出荷台数が2025年比でPCは10.4%、スマートフォンは8.4%減ると予測しています。DRAMとSSDを合わせた価格は2026年末までに130%上昇し、それに伴いPC価格は17%、スマートフォン価格は13%上がるとの見積もりです。
Gartnerは、価格上昇を受けて購入者が端末を長く使い、買い替えが遅れるとも見ています。SK hynixはHBM4の増産に加え、先端DRAMや高容量SSDの供給拡大を進める計画ですが、需要と供給の差が縮まるのは2030年まで先になるとの見通しです。












