
高速移動中の端末で通信が途切れる
ウクライナの大統領顧問セルヒー・ベスクレストノフ氏は、SpaceXが同国の軍用Starshield端末に速度制限を設けたと述べました。時速約160キロを超えると運用に支障が出るとし、事前の通知はなかったとしています。
Starshieldは政府機関向けに設計されたSpaceXの衛星通信サービスで、政府利用を想定しています。一般向け・商用のStarlinkとは対象が異なります。
Starshieldの用途は、衛星画像、通信、政府向け機器を衛星に搭載する「ホステッド・ペイロード」の3分野です。SpaceXは、機器を載せる衛星の提供も含め、地上アンテナから衛星の運用までを手がける構想を示しています。
前線の任務や補給に影響
ウクライナ軍第7即応軍団は、飛行中に時速約110〜120キロで通信が10〜20秒途切れることがあり、ドローンの操縦が難しくなったと説明しました。通信が切れてもドローンは飛行を続けましたが、軍団は複数の任務を中止したとしています。
軍の報告を引用したボランティアのセルヒー・ステルネンコ氏は、通信が途切れる速度が時速約60〜70キロに下がったと述べました。国防省関係者も、制限によって兵站やドローン運用が複雑になったとしています。
Starshield端末は、移動するドローンや軍用車両に搭載され、移動中の通信に使われています。ウクライナ側は、ロシア占領地域でのドローン攻撃や前線の作戦にこの通信を利用してきました。
制限の理由は明らかになっていない
SpaceXは制限の理由を説明していません。ベスクレストノフ氏らウクライナ当局者は、ウクライナによるロシアの石油精製施設への長距離ドローン攻撃をめぐり、米国から停戦を求める圧力が高まる時期と重なったとして、意図的な措置との見方を示しています。
米大統領ドナルド・トランプ氏は「エネルギー停戦」を求め、イーロン・マスク氏はXに「ゼレンスキーは行き過ぎた」と投稿しました。
Starshieldは、機密情報の処理を想定した追加の暗号機能を備えています。衛星間レーザー通信を使い、他社の衛星をネットワークに接続する機能も掲げています。
国内衛星通信網の開発も進む
ウクライナの防衛技術企業ステトマンは、軍事作戦でSpaceXに大きく依存する状況を減らすため、独自の衛星通信システム「UASAT-NANO」を開発しています。










