
NASAの安全諮問パネル委員は、Artemis IVでStarship月着陸船を支える推進剤補給に、直近の推定で約22回の打ち上げが必要だと述べました。 SpaceXのイーロン・マスク氏は6〜8回との見方を示しています。
安全諮問パネルが示した約22回
NASAの航空宇宙安全諮問パネルで、元宇宙飛行士のチャーリー・プレコート委員は、Artemis IVには初めての要素が多く、ミッション成功の見込みを下げるリスクがあると述べました。 その一つとして着陸船への複数回の推進剤補給を挙げ、直近の見積もりを約22回としました。
プレコート氏は機体名を挙げませんでしたが、この数字はSpaceXのStarshipを指しています。 NASAのもう一つの有人月着陸船であるBlue OriginのBlue Moonは、初期のミッション設計で軌道上補給を使わないためです。
この22回という数字に対し、マスク氏は「多すぎる」と反論し、実際には6〜8回になるとの見通しを示しました。
地球低軌道で推進剤を集める仕組み
Starshipの月着陸計画では、まず推進剤を保管するデポを地球軌道に置き、複数のタンカー機で推進剤を運びます。 その後、デポから月着陸船へ推進剤を移し、月へ向かう構成です。
米政府監査院(GAO)は2023年、SpaceXの計画では複数のタンカーが軌道上のデポへ推進剤を運び、そこから有人着陸システムへ移すと記しました。 推進剤の軌道上での貯蔵と移送は、月着陸に必要な技術課題の一つです。
NASAの2023年の計画資料では、軌道上で2機のStarshipを合流・ドッキングさせ、極低温推進剤を移す実証が示されました。 片方が推進剤を受け取り、もう片方が移送を担う構成です。 NASAは、大規模なStarship間の極低温推進剤移送を、月着陸ミッションに不可欠な能力と位置づけています。
月面への輸送と着陸船の役割
Starship HLSは、月周回軌道から月面へ乗員を運び、再び月周回軌道へ戻す着陸船として開発されています。 NASAのミッション構想では、月周回軌道でOrion宇宙船とドッキングし、乗員が移乗した後に月面へ降下します。
月面活動を終えた乗員はStarship HLSでOrionへ戻る計画です。 乗員が搭乗するミッションに先立ち、SpaceXは無人の月面着陸実証を行う予定です。
軌道上補給の構成では、地上からタンカーが推進剤を運び、デポを介して月着陸船に積み替えます。 これは、月へ向かう前の推進剤を複数の打ち上げで軌道上に集める手順です。 Blue Moonの初期設計では軌道上補給を使いません。
打ち上げ頻度と2028年の目標
SpaceXがStarshipの打ち上げ頻度を高めても、補給に必要な期間は課題として残ります。 SpaceXが2027年末までに週2回の打ち上げを実現した場合でも、Starship着陸船用のデポを満たすには約3カ月かかる計算です。
必要回数の見積もりには、軌道上で液体メタンや液体酸素が蒸発する量と、機体間の推進剤移送の効率が関係します。
NASAは2028年の有人月面着陸を目指しています。 プレコート氏は、NASAの指導部が計画を前に進めるため、障壁を見つけて必要な資源を投入することに取り組んでいると述べました。











