
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測で、宇宙誕生から約18億年後に爆発した超新星が確認されました。遠方の超新星を含む約80個の明るさの変化が見つかりました。特に、宇宙の膨張率を測る手がかりとなるIa型超新星が、従来の記録より遠い宇宙で見つかりました。

約80個の明るさの変化から超新星を特定
研究チームは、JWSTのJADES(JWST Advanced Deep Extragalactic Survey)計画で得た画像を調べました。JADESは初期宇宙を深く観測する計画で、チームは最大1年ほど離れた画像を比べ、明るさが変わった天体を探しました。
明るさが時間とともに変わる天体は「トランジェント」と呼ばれ、超新星もその一種です。調査では、腕を伸ばして持った米粒ほどの範囲に約80個のトランジェントが見つかり、その多くが超新星とされました。
観測された天体には、分光観測で確認された超新星として最遠の例が含まれます。赤方偏移は3.6で、光を放った星が爆発した当時、宇宙の年齢は約18億年でした。この天体は、大質量星の中心部が崩壊して起きる「重力崩壊型超新星」です。
Ia型超新星は距離測定の手がかり
研究チームは、赤方偏移2.9のIa型超新星も少なくとも1個特定しました。爆発の光が地球へ向けて出発したのは約115億年前で、その時点の宇宙は約23億歳でした。それまでの分光確認済みIa型超新星の遠方記録は赤方偏移1.95で、当時の宇宙は約34億歳でした。
Ia型超新星は、明るさを予測しやすい性質を利用して遠方までの距離を測る「標準光源」です。超新星の光度と光度曲線の形の関係を使って明るさを補正し、その値から距離を推定します。
光度曲線の幅が広いIa型超新星ほど本来明るい傾向があり、幅を補正すると距離指標としての精度が高まります。色も補正に使い、相対的な明るさの推定を整えます。遠方のIa型超新星を調べることで、宇宙の膨張率の測定に使う明るさの関係が初期宇宙でも成り立つかを検討できます。
遠方の光を赤外線でとらえる
遠方の超新星の光は、宇宙の膨張に伴って波長が長くなる「宇宙論的赤方偏移」を受けます。可視光として出た光も、長い時間をかけて届く間に赤外線へ移るため、赤外線に強いJWSTは遠方の超新星を探すのに適しています。
ハッブル宇宙望遠鏡は紫外線・可視光と赤外線の一部を観測し、JWSTは主に赤外線を観測します。遠方銀河の光が赤外線まで移るとハッブルでは捉えにくくなる一方、JWSTは中赤外線まで観測できます。
JWSTは初期宇宙の天体を調べる役割を担います。JWSTの鏡は直径6.6メートルで、ハッブルの2.4メートル鏡より大きく、赤外線観測に合わせて設計されています。
初期宇宙の超新星研究を広げる
今回のJADES調査では、赤方偏移2を超える領域で知られていた超新星の数が、従来の10倍になりました。研究チームは、遠方の超新星が近傍のものと根本的に異なるのか、よく似ているのかを調べようとしています。
初期宇宙には、太陽のような星より重元素が少ない星から生まれた超新星が存在すると予想されています。そうした超新星と近傍宇宙の例を比べることで、当時の星形成や爆発の仕組みを調べる手がかりが得られます。
2019年に公表された研究では、JWSTによる深く長期的な赤外線観測を想定し、赤方偏移1から4の範囲でIa型超新星約50個などを発見できると予測しました。同研究は、赤外線で観測されるスペクトルの形をIa型超新星のテンプレートと照合し、測光データから赤方偏移を推定する方法も検討しています。これは将来の観測計画に関する予測で、今回のJADES調査で確認された約80個の天体とは別の研究結果です。










