シリアで観光客が増加、ホテル投資計画と航空路線の拡大が進む
出典: home.treasury.gov

2026年上半期、シリアを訪れた人は352万人となり、前年同期の2倍を超えました。ホテルや不動産企業が開発計画を進め、航空便も増えています。訪問者には海外在住のシリア人が多く含まれ、投資や旅行には制約も残っています。

上半期の訪問者は352万人、海外在住シリア人が最多

2026年上半期の訪問者数は前年同期比で2倍以上の352万人でした。このうち約213万人は海外在住のシリア人で、アラブ諸国からは約66万人、その他の国々からは約72万人が訪れました。

海外在住シリア人を除く2つの区分を合わせると約138万人です。別の集計では、前年同期比で国際到着者が448%増、アラブ諸国からの訪問が107%増、海外在住シリア人の訪問が75%増となりました。

内戦前の2010年には、年間の観光客数が850万人に達していました。2026年上半期の訪問者数はこの年間値の半分に届いていません。対象期間と集計上の呼び方が異なるため、単純な回復率とは比較できません。

米国の指定解除で一部取引の制限が変化

米国務省は2026年8月24日、シリアの「テロ支援国家」指定を解除し、アル・ヌスラ戦線(ハヤト・タハリール・アル・シャーム、HTS)の特別指定国際テロリスト指定も取り消しました。米財務省はHTSを制裁対象者リストから削除しました。

この変更により、米国人は、取引に制裁対象者や別途禁止された活動が関与しない限り、HTSとの取引に米財務省外国資産管理局(OFAC)の許可を得る必要がなくなりました。同時に、米国はアルカイダなどを支援するとされたHTSの元関係者2人を新たに制裁対象に指定しています。

米財務省は9月25日、指定解除を受け、シリア向けの一般許可を定めていた規則の条項を削除しました。シリア指定の解除により、この規則に基づく同国向け許可は不要になりました。ただし、制裁対象者との取引や米国の別の規制に該当する活動には、引き続き制限が適用されます。

ホテル開発計画と航空便の拡大

UAEのイーグル・ヒルズは、ダマスカスで1,000万平方メートル、ラタキアで430万平方メートルの開発を計画し、10月5日にシリア側と基本合意書を結びました。UAEのアラダも、70億ドル(約1兆1,000億円)規模のプロジェクトで進出する計画を明らかにしています。

ホテル運営会社アコーは2件の計画について交渉を進めており、ウィンダム・ホテルズ&リゾーツはダマスカスや沿岸のリゾート地を調査しています。マイナー・ホテルズは、ダマスカス旧市街の歴史的建造物をブティックホテルに改修する案と、新規開発の両方を検討しています。

カタール航空やフライドバイは湾岸のハブ空港からシリアへの路線を開設しています。エティハド航空はダマスカス便を週4便から週7便に増やし、毎日運航する計画を発表しました。シリアでは2025年に国際線の運航が再開し、海外からの訪問者が戻り始めています。

復興需要と旅行上の制約

ビザとマスターカードは2026年9月、シリアでの事業開始を発表しました。国際カード決済は一部の外国発行カードに限られ、利用できる場所も限られています。

世界銀行によるシリアの復興費用の最低推計は2,160億ドル(約34兆円)です。内訳には住宅建築の750億ドル(約12兆円)、非住宅構造物の建設の590億ドル(約9兆3,000億円)が含まれます。

安全面では、米国務省が散発的な暴力事件を理由に自国民へ渡航しないよう勧告しています。日本政府もシリアに危険情報レベル4の退避勧告を継続しています。