
サウジアラビアでは大型開発計画の契約発注が減る一方、ホテル建設は続いています。資材費などが上昇し、開発の優先順位が見直されるなか、ホテル供給の拡大と観光需要の動向が焦点です。
大型開発の契約発注は2023年をピークに減少
ギガプロジェクトは、都市開発や観光施設などを含む大規模事業です。サウジアラビアでの関連契約の発注額は、2023年の317億ドル(約5兆円)から2024年に267億ドル(約4兆2,000億円)、2025年に136億ドル(約2兆1,000億円)へ減りました。2026年は同年の取材時点までに106億ドル(約1兆7,000億円)が発注されています。
発注額は減っていますが、ギガプロジェクトがサウジアラビアの建設市場全体に占める割合は約17%です。MEEDの推計では、過去10年間に同国で発注された約7,000億ドル(約110兆円)のうち、ギガプロジェクト関連は約1,170億ドル(約18兆円)でした。
湾岸協力会議(GCC)諸国でも、2025年上半期の契約発注額は前年同期比19%減でした。サウジアラビアの減少率は56%、アラブ首長国連邦(UAE)は4%で、国によって差があります。
支出抑制には費用上昇と計画の見直しが影響
開発ペースが落ちた背景には、石油価格の低迷と、政府や政府系ファンドによる優先順位の見直しがあります。プロジェクトの費用が膨らみ、ネオムなど一部の計画では規模や費用対効果の再評価が進んでいます。
MEEDは、計画の工程や範囲の再評価に加え、追加投資を呼び込む必要性も発注減少の要因に挙げています。2025年には、壮大な計画の策定から既存事業の実行へ重点を移す動きもありました。
エドワード・ジェームズ氏は、コスト上昇、海外からの直接投資が期待を下回っていること、事業を担う能力の制約も要因だと述べています。複雑な工事の費用や技術上の課題が、事業の進め方を見直す圧力になっています。
ホテル開発は続き、建設中の客室も多い
ギガプロジェクトの発注が減るなか、サウジアラビアではホテル建設が進んでいます。2025年7月時点で、173軒のホテル、計44,823室が建設中でした。同じ12カ月間に19軒、計3,626室が開業しています。
新規開業した客室の内訳にも変化があります。2025年の年初来では、高級・上級高級クラスが1,289室で最多となり、上級・上級中級クラスが544室、中級・エコノミークラスが60室でした。
サウジアラビア政府は、2030年までに年間1億5,000万人の訪問者を目指しています。2025年の訪問者数は約1億2,200万人とされ、ホテル供給の拡大も進んでいます。
客室供給と需要の見極めには開業段階も重要
ホテルの計画数は、建設中、資金確保済み、または期限までの開業が決まった客室数とは一致しません。開発中の案件には複数の段階があり、大型の観光開発は次の10年まで段階的に進む場合があります。
需要の動きも一様ではありません。サウジアラビアのインバウンド観光客は2025年に2,930万人で、前年比1.6%減でした。2026年第1四半期にはインバウンド客が前年同期比13%減る一方、国内旅行は増えています。
建設中のホテルは、宗教旅行や都市滞在、沿岸リゾートなど異なる市場を対象にしています。全国の客室供給が増えても、開業する地域や価格帯、旅行需要の種類によって稼働状況は異なります。











