Pipa pipa 1
写真: User:Stan Shebs / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

スリナムヒキガエルの指先には、水の動きを感じ取る小さな感覚構造が並び、獲物に触れる前の吸い込み捕食を支えています。研究では、指先が脳の感覚処理領域でも大きく表現されることが示されました。カエルやヘビ、ウミガメなどは、人には直接感じられない情報も利用して周囲を捉えています。

スリナムヒキガエルの指先に並ぶ感覚構造

スリナムヒキガエルは南米の水中で暮らすカエルで、舌を使わず、口を急速に広げて獲物を吸い込みます。視界が限られる環境での捕食には、前肢を使うこの方法が関わっています。

指先には、分岐した小葉状の構造があります。研究チームは走査電子顕微鏡などで形態を調べ、1個体あたり計128個の末端小葉を記録しました。

小葉の先端には、隣接する指の皮膚より高密度にドーム状の突起が並んでいました。先端部は前肢の中で機械刺激への感度が最も高く、測定された刺激閾値の中央値は0.07ミリニュートンでした。

接触前の水の動きに反応

研究チームは、神経活動の記録や高速撮影などを通じて、指先の小葉が機械刺激を受け取る仕組みを調べました。神経の記録では、低い刺激にも反応する感覚神経が、小葉に限局した受容領域を持つことが分かり、一部は水流にも反応しました。

高速撮影では、カエルが獲物の魚の接触前に吸い込み捕食を始める様子が観察されました。研究チームは、水の動きを検出できる距離を短距離の約5ミリメートルと報告しています。

この結果から、指先は獲物との接触を待つだけでなく、近くで生じる水の乱れも捉えることが分かります。視覚に頼りにくい水中で、捕食開始前の情報を得る感覚器として働きます。

脳内でも大きく表現される指先

感覚器の特徴は皮膚表面だけではありません。研究チームが視蓋で神経の反応領域を調べたところ、指先は前肢の表面積の8%を占める一方、前肢に対応する感覚表現の34%を占めていました。

視蓋は、カエルの脳で感覚情報の統合や運動への変換に関わる領域です。研究チームは、指先の表現が表面積に比べて4.3倍に拡大していると算出しました。

研究チームは、受容器の密度、脳内での大きな表現、刺激へ指先を向ける行動の三つをもとに、この器官を「体性感覚の中心窩」と位置付けました。これは、特定の場所に感覚受容と神経処理が集中する仕組みを指します。

動物ごとに異なる感覚の使い方

人には感じ取れない情報を利用するのは、スリナムヒキガエルだけではありません。マムシなどのヘビには赤外線を感知する器官があり、周囲との温度差から温かい獲物の位置を捉えます。

ヘビは二股の舌で空気中の化学物質を取り込み、獲物や繁殖相手を探します。カエルの皮膚には触覚や振動を感じる受容器があり、体を動かさずに周囲の変化を捉える種もいます。

磁場への反応は、両生類や爬虫類の複数のグループで実験的に観察されています。ウミガメの実験では、異なる地理的位置に対応する磁場への反応が示され、若い個体は最大約1万3000キロメートル移動するとされています。