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写真: No machine-readable author provided. Ekko assumed (based on copyright claims). / Public domain / Wikimedia Commons

テストステロン値が低い場合も高い場合も、心房細動リスクの上昇との関連が報告されています。ただし、ホルモン値が心房細動の原因だとは確定しておらず、補充療法で心房細動を防げるかも分かっていません。治療を検討する際は、対象となる患者や評価した心血管イベントの違いを踏まえて結果を読む必要があります。

心房細動とテストステロン値の関連

心房細動は、心臓上部の部屋である心房の拍動が乱れる不整脈です。動悸や疲労、めまいが起きることがあり、症状がない人もいます。脳卒中リスクの上昇にも関係します。

人を対象にした既存研究のレビューでは、テストステロン値が低い場合も高い場合も、心房細動リスクの上昇との関連が報告されました。リスクは正常範囲の中ほどで低い可能性があると研究者らは述べています。ただし、その範囲を目指すことで心房細動が減るとは確認されていません。

低値と高値では、心臓への影響の仕組みが異なる可能性があります。実験研究では、低値は心筋細胞内のカルシウム調節を乱し、高値はカリウム電流を変化させる可能性が示されています。いずれも心拍を調整する電気信号に関わる過程です。

観察研究と試験で異なる結果

フラミンガム心臓研究を含む人口研究では、一部の年齢層でテストステロン値の低さと心房細動リスクの高さが関連しました。一方、4,570人の高齢男性を追跡した研究では、中央値4.4年の追跡期間中、値が最も高い2群のリスクは中間群のおよそ2倍でした。この研究では、低値側のリスク上昇は統計的に有意ではありませんでした。

2024年の106件の無作為化試験の統合解析では、TRAVERSE試験を除いてまとめると、心房細動の統計的に有意な増加は確認されませんでした。個別の観察研究、特定の患者を対象にした大規模試験、複数試験の統合解析では、対象や解析の単位が異なります。

観察研究で示されるのは、ホルモン値と発症の相関であり、テストステロン値が心房細動を引き起こしたとは結論づけられません。高値側で関連が見られた研究でも、低値側の結果は同じではありませんでした。

TRAVERSE試験で報告された心房細動

2023年のTRAVERSE試験は、心血管疾患があるか、そのリスクが高い45〜80歳の男性5,246人を対象にしました。参加者には性腺機能低下症の症状があり、空腹時テストステロン値が300 ng/dL未満であることを示す検査結果が2回必要でした。試験では、テストステロンゲルと有効成分のないゲルを無作為に割り当てて比較しました。

テストステロン群では心房細動が3.5%、比較群では2.4%に発生しました。一方、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中を合わせた主要評価項目は、それぞれ182人(7.0%)と190人(7.3%)に発生し、試験はこの複合項目についてプラセボに対する非劣性を示しました。

試験ではテストステロン値を350〜750 ng/dLに保つようゲルの量を調整し、複数の時点で血中濃度を確認しました。心房細動の割合に差が出た一方、主要評価項目全体では同様の結果でした。評価した項目が異なるため、主要評価項目の結果だけで心房細動の数値を置き換えることはできません。

治療を検討する際の確認事項

TRAVERSE試験の対象は、症状と検査で低値が確認され、心血管疾患または高いリスクがある男性です。試験結果は、対象外の人にそのまま当てはめることはできません。試験では心血管リスクや心臓の状態を考慮して治療する設計でした。

治療開始前には、心臓の健康状態のほか、肥満、高血圧、飲酒、睡眠時無呼吸なども考慮するよう研究者らは提案しています。睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸の停止と再開を繰り返す状態です。体脂肪の増加は、低いテストステロン値とも関連します。

American Family Physicianの臨床レビューは、性腺機能低下症の症状があり、朝に測定した低いテストステロン値が2回確認されていることを、診断や治療検討の条件として挙げています。治療中はテストステロン値、血算で確認するヘマトクリット、前立腺特異抗原(PSA)を定期的に調べ、症状の改善や合併症も確認します。