
銀河団の写真に浮かぶ「笑顔」
ハッブル宇宙望遠鏡が2015年に撮影した銀河団「SDSS J1038+4849」の画像は、笑顔のように見えるとしてNASAに紹介されました。銀河団は、地球から45億光年離れたおおぐま座の方向にあります。
画像の黄色い二つの点は、それぞれ大きな銀河です。その下にある顔や弧状の口は、銀河団の重力によって光が曲げられる「重力レンズ」で生じています。
重力レンズは、遠方の天体から届く光が、途中にある大きな質量の天体のそばを通る際に進路を変える現象です。光源、レンズとなる天体、観測者の位置関係によって、背景の天体は異なる形に見えます。
光源などの位置関係がリングや弧を生む
光源、重力レンズ、観測者が一直線に並ぶと、背景の光はレンズの周囲にリング状に見えます。この現れ方は「アインシュタインリング」と呼ばれる、重力レンズの一種です。
三者の位置が完全にはそろわない場合、光の像は対称なリングにならず、部分的な弧として現れることがあります。レンズとなる銀河の質量分布が中心の周りで対称でない場合も、完全なリングから外れた形につながります。
別の銀河団画像にも見られる光の弧
銀河団「SDSS J0952+3434」に属する銀河なども、別のハッブル画像に写っています。その画像では、中央より少し下に、二つの黄色い天体と弧状の光が笑顔に似た形で並んでいます。
この画像の弧状銀河は、重力レンズによって光が引き伸ばされた形をしています。SDSS J1038+4849の画像と似た見た目ですが、写っている銀河団は別です。
宇宙で新しい星が生まれる過程を調べるため、ハッブル宇宙望遠鏡はSDSS J0952+3434を撮影しました。搭載カメラのWFC3は遠方銀河を高い解像度で観測でき、星形成領域を見つけて調べるために使われています。
重力レンズを使った天体の研究
重力レンズの観測は、銀河の質量を調べる手段の一つです。遠方の光がどのように曲がって届くかを利用して、レンズとなる天体の性質を調べます。
この現象は、系外惑星の発見や暗黒物質の探索にも使われています。










