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症状が出た後の治療で運動機能が改善

パーキンソン病に似た症状を示すマウスに、組織へ届く酸素を減らす2種類の薬を投与したところ、運動テストの成績が改善しました。治療は運動障害が現れた後に始まり、研究チームは脳内の過剰な酸素と脂質の酸化に関わる指標も低下したと報告しています。

この実験では、マウスの脳にαシヌクレインというタンパク質の線維を注入し、蓄積と運動障害を引き起こしました。注入から6週間後、症状が出た段階で毎日の経口投与を開始し、その後6週間にわたり観察しました。

投与したマウスは、棒を降りるテストで動作が速くなり、ケージのふたにつかまるテストでも保持時間が延びました。薬を投与せず液体だけを与えた対照群では、運動機能の低下が続きました。

GBT601とPT2399が酸素供給を抑える仕組み

併用薬の一つGBT601は、ヘモグロビンが酸素を組織へ放出しにくくする薬です。ヘモグロビンは赤血球に含まれ、酸素を運ぶタンパク質です。

酸素供給が減ると、体は赤血球を増やして補おうとすることがあります。もう一方のPT2399は、低酸素への反応に関わるHIF-2αを阻害し、この代償的な赤血球産生を抑えます。

研究チームは、この組み合わせで組織への酸素供給を抑え、薬によって低酸素状態の効果を再現することを目指しています。GBT601は従来の候補薬より半減期が長く、ヘモグロビンへの結合率も高い第2世代の薬として研究に用いられました。

他の神経疾患モデルでも異なる効果

同じ併用薬は、ミトコンドリアのエネルギー産生に関わるまれな疾患、リー症候群のマウスモデルでも試されました。中央値で示した寿命は、対照条件の62日から併用治療群の158日に延びました。

フリードライヒ運動失調症のマウスモデルでは、症状が進んだ後に治療を始めると、運動機能のさらなる悪化が止まりました。

パーキンソン病モデルで運動機能が改善しても、それだけで神経細胞の回復が示されるわけではありません。

人での治療には追加の検証が必要

低酸素状態を長く続けると、肺高血圧など心肺への影響が懸念されます。今回、6週間投与した対照マウスでは、肺高血圧に関連する心臓の測定値に上昇は見られませんでした。

研究チームは、薬の併用群で体重が維持され、肺高血圧の兆候も認められなかったと報告しています。ただし、これらはマウスでの結果であり、低酸素療法の安全性と有効性を人で確かめたものではありません。

今回の研究は、低酸素を模倣する薬の組み合わせを複数の神経疾患モデルで検討した前臨床研究です。研究チームは、人への応用を判断する前に、さらなる前臨床研究と臨床評価が必要だとしています。