テキサス大学オースティン校の研究では、運動する頻度が高い大学生ほど、深い睡眠を含む回復的な睡眠に多くの時間を費やす傾向がありました。中強度から高強度の運動は1日10分でも睡眠との関連が見られ、歩行や座りっぱなしを避ける軽い活動も睡眠や翌日の気分と結び付いていました。ただし、この調査は運動が睡眠を改善するという因果関係を証明していません。
大学生の調査で見られた運動頻度と睡眠の関係
研究チームは、大学生が数カ月にわたって着用したFitbitのデータを使い、日々の活動と睡眠を比較しました。先行研究の多くが運動の総時間に注目していたのに対し、この研究では運動する日数や頻度と睡眠の関連を調べています。
運動する頻度が高い参加者ほど、深い睡眠を含むノンレム睡眠に多くの時間を費やす傾向がありました。ノンレム睡眠は、身体の回復や脳の働きに関わる睡眠段階です。
中強度から高強度の身体活動は、1日10分でも良好な睡眠パターンと関連しました。研究者によると、この強度では普段より呼吸が速くなりますが、会話は続けられます。主観的な負荷は10段階中およそ6です。
成人を対象にしたレビューが示す共通点と限界
成人を対象にした厚生労働科学研究費のレビューは、主にランダム化比較試験を含む6件のレビュー研究を選び、身体活動と睡眠の質を検討しました。レビューでは、定期的な身体活動が成人の全般的な睡眠の質に有益な効果をもたらすと結論づけています。
同レビューが扱った研究では、運動の頻度は週3〜10回、1回の時間は20〜90分に及びました。レビューは、睡眠の質を高める具体的な運動量や頻度を定める用量反応の証拠は明確でないとしています。
レビューでは、定期的な身体活動の利点は年齢にかかわらず見られると整理しています。
夕方の運動は一律に睡眠を妨げるわけではない
健康な成人を対象に夕方の運動を調べた別のシステマティックレビューとメタ分析には、23件の研究が含まれました。運動しない場合と比べ、夕方の運動後は深い睡眠にあたる徐波睡眠の割合が1.3ポイント増え、浅い睡眠の第1段階は0.9ポイント減りました。
同じ分析では、レム睡眠が始まるまでの時間は平均7.7分長くなりました。分析では、夕方の運動が睡眠を悪化させるという仮説は支持されず、睡眠に良い変化も見られたと結論づけています。
一方、就寝まで1時間以内に終える高強度の運動では、寝つくまでの時間、総睡眠時間、睡眠効率が損なわれる可能性があるとレビューは指摘しています。そのため、夕方の運動では時間帯だけでなく、強度と就寝までの間隔も区別する必要があります。
翌日の気分との関連と、今後の検証
テキサス大学の調査では、より頻繁に運動した参加者は、翌日に活力を感じやすく、ストレスも少ない傾向がありました。また、ノンレム睡眠が多いことは、翌日の気分やエネルギーの良さと関連していました。
調査は日常生活の中で集めた観察データに基づいています。運動習慣や睡眠時間など、日常の条件が幅広く異なる環境で関連を捉えました。
研究チームは今後、大学生以外にも対象を広げた5年間のコホート研究で、同様の傾向が見られるかを調べる予定です。








