ペロブスカイト太陽電池
出典: sekisui.co.jp

積水ソーラーフィルムは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の量産を2027年度に年100メガワット規模で始め、2030年度以降に年1ギガワットへ拡大する計画です。森田健晴エグゼクティブフェローは、1ギガワットの生産体制を築き、設置やメンテナンスなどを含む総コストをシリコン型と競える水準に抑え、補助金に頼らない事業の自立を目指すと語りました。

同社は大阪府堺市の工場に設備を導入しており、機械装置の導入はほぼ終えています。2025年度には、幅1メートルのフィルムを連続製造するロール・トゥー・ロール方式を確立しました。年100メガワットから年1ギガワットへの拡大は、需要の動向を見極めながら進める方針です。

体育館やビルで実証、販売も開始

同社は幅1メートルの製品を製作し、体育館の屋根やビルの外壁、空港の滑走路脇などで実証試験を進めています。2026年3月に販売を開始し、滋賀県立八幡工業高校の体育館の屋根のほか、福岡市の小中学校の体育館や東京都の晴海客船ターミナルにも導入しました。

ペロブスカイト太陽電池は、光を吸収するペロブスカイト層を含む発電素子です。産業技術総合研究所によると、この層が光を受けて電子と正孔を生み、それぞれが別の輸送層を通って電極へ移動すると電流が流れます。フィルム型は、フィルム基材に原料の溶液を塗布して製造できます。森田氏は、軽く柔軟な特性を生かし、シリコン型の設置が難しい場所にも導入できると説明しています。

産総研は、軽量なフィルム型なら、重量の制約で太陽電池を置けなかった工場や体育館の屋根、カーポートにも設置できる可能性があるとしています。積水ソーラーフィルムは、体育館の屋根やビルの外壁で実証を進め、従来のパネルとは異なる設置場所を試しています。

量産にはコストと耐久性の課題

森田氏が量産後の目標に置くのは、製品価格だけでなく、設置・施工、将来のメンテナンス、リサイクルや廃棄までを含めたシステムコストです。これらをシリコン型と競える水準に抑えられれば、補助金なしで海外展開を含む事業の自立につながるとしています。

一方、森田氏は光による劣化を最大の課題に挙げています。ペロブスカイト太陽電池では水分や熱も劣化要因になります。NIMSは、ペロブスカイト層の表面に極薄の2次元ペロブスカイトを形成し、水や酸素、熱に対する耐久性を高める研究を行いました。この構造を組み込んだ1センチ角の素子では、60度の環境で発電効率20%以上を保ちながら、1000時間の連続発電を実現したと報告しています。この研究成果はNIMSによるもので、積水ソーラーフィルムの製品に同じ方法や性能が採用されていることを示すものではありません。