Fluorescent blue cells with irregular shapes against a dark background
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老化細胞の種類と炎症の仕組み

老化細胞は分裂を止めた後も体内にとどまり、炎症に関わる物質を放出します。メイヨー・クリニックの研究チームは、こうした細胞の種類や炎症を起こす仕組みを調べた7件の研究を発表しました。研究では、細胞を取り除く方法に加え、炎症を生む経路を抑える方法も検討されています。

老化細胞の特徴は、体内の場所や老化に至った過程によって異なります。研究チームは、遺伝子の活動パターンを使って細胞を識別する「SenMayo」という遺伝子セットを開発し、高齢者の骨生検などで調べました。細胞の多様性を把握することで、標的を絞った介入を検討できます。

一部の研究では、細胞内でエネルギーをつくるミトコンドリアの機能不全が、炎症信号に関わる経路にどう影響するかを調べました。ミトコンドリア由来のDNAやRNAが免疫反応を活性化する仕組みや、ミトコンドリアの代謝変化が炎症関連遺伝子の働きに影響する仕組みが報告されています。これらの経路を抑えれば、老化細胞を残したまま炎症を弱める治療につながる可能性があります。

除去と炎症抑制という異なる方法

老化細胞は、組織の修復や傷の治癒、腫瘍の抑制に関わることがあります。一方、長く残った細胞が分泌する炎症性物質は、慢性炎症や組織機能の低下に結びつきます。そのため、老化細胞を一律に取り除くだけでなく、細胞の状態や働きを見分けることが研究上の課題です。

セノリティクスは、老化細胞が生き残るために使う経路を標的にし、細胞死を促して取り除く薬剤です。セノモルフィクスは細胞を除去せず、老化細胞が分泌する炎症性物質などの有害な作用を抑える方法です。前者は細胞数を減らし、後者は細胞を残しながら分泌の影響を抑える点で異なります。

老化細胞の性質は組織や状況によって異なり、標的を特定する指標や安全性の確認が課題です。

マウスで調べた介入とバイオマーカー

メイヨー・クリニックの研究では、老化細胞を除去するセノリティクス薬、トマトに含まれる天然化合物、特定の細胞集団を狙う遺伝的手法が調べられました。高齢マウスでは、介入方法に応じて炎症指標の低下や、身体的な虚弱、脳の炎症、認知課題の成績に改善が観察されました。これらは動物実験での結果です。

トマト由来の化合物トマチジンを扱った研究も、老齢マウスで認知機能の改善と細胞老化の減少を報告しています。ただし、マウスでの結果だけでは人に対する有効性や安全性は確立しません。メイヨー・クリニックの研究チームは、臨床応用に向けてさらなる研究が必要だとしています。

別の研究では、IL-23Rが老化に関連する血液中のバイオマーカー候補として挙げられました。バイオマーカーは、体内の状態を測る手掛かりとなる指標です。IL-23Rは将来、老化に伴う変化や治療への反応を評価する用途が検討されています。

ヒトの臨床試験で報告された結果

老化細胞を標的とする治療については、メイヨー・クリニックのマウス研究とは別に、線維化を伴う代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の成人を対象とした第2相試験が報告されています。試験では31人を、ダサチニブとケルセチンの併用群またはプラセボ群に割り付け、3日間の服用と休薬を組み合わせた治療を21週間実施しました。

主要評価項目である、MASHを悪化させずに肝線維化の段階が1段階以上改善した人の割合は、併用群で47%、プラセボ群で7%でした。MASHの消失も併用群で53%、プラセボ群で7%に見られました。有害事象は併用群の82%、プラセボ群の43%で報告され、試験論文ではいずれも自然に治まったとされています。

この試験は、特定の肝疾患を持つ少人数を対象とした原理検討段階の臨床試験です。結果はセノリティクスを人で検証した例ですが、メイヨー・クリニックが調べたトマチジンなどの介入とは異なります。