
1968年10月11日、アポロ計画初の有人飛行
アポロ7号は1968年10月11日、ウォーリー・シラー、ドン・アイゼル、ウォルター・カニンガムの3人を乗せて打ち上げられました。アポロ計画で乗組員が宇宙へ向かった初の飛行であり、アポロ1号の火災後に有人飛行を再開する節目となりました。
打ち上げにはサターンIBロケットが使われ、約10分後に地球周回軌道へ入りました。月着陸船は搭載せず、主な目的は乗組員がいる状態で司令船・機械船と地上支援設備を確かめることでした。
飛行は10日20時間余り続き、10月22日にバミューダ南東の大西洋へ着水しました。飛行4日目には、アメリカ人乗組員による宇宙からの初のテレビ生中継も行われました。
アポロ1号火災後に改めた司令船
1967年1月のアポロ1号火災を受け、NASAは宇宙船内での燃焼を抑える設計変更を進めました。司令船の部品の多くを難燃性または耐火性の材料に置き換え、地上試験時の船内気体の条件も変更しました。
NASAは飛行前に、乗組員を乗せた高度試験を実施しました。シラーらは高度試験中、緊急事態を想定して船内を減圧し、宇宙服を着たまま宇宙船のシステムだけに頼って数時間過ごす手順も確かめました。
アポロ7号では、改修後の司令船が乗組員の操作下で機能するかを軌道上で検証しました。NASAの計画には、乗組員や予備系統、ミッション支援設備の働きに加え、誘導・航法、環境制御、推進系などの確認が含まれていました。
軌道上で確かめた機体の操作と性能
宇宙船は打ち上げ後、ロケット第2段のS-IVBと約1周半をともに飛行しました。分離後、乗組員は宇宙船を反転させ、将来の月着陸船との結合を想定した接近・ドッキング操作を模擬しました。
翌日には、約80マイル離れたS-IVBを見つけて接近し、約70フィートまで近づきました。このランデブー試験では、月着陸船を取り出す将来の操作に関わる誘導や操縦も確認しました。
機械船の主推進エンジンは8回の燃焼試験を行い、NASAは各回の性能をほぼ正常と評価しました。司令船・機械船は約11日間にわたりおおむね正常に動作しましたが、燃料電池の温度上昇や電気系統の一時的な停止なども起きました。乗組員は回路遮断器を手動で復帰させました。
乗組員には打ち上げ後に風邪の症状が現れ、無重量状態では鼻づまりへの対処も必要になりました。NASAによると、3人は再突入時にヘルメットを着用せず、降下前に薬を服用して着水までの手順を終えました。
無人試験との違いとアポロ8号への引き継ぎ
先行するアポロ6号は、乗組員を乗せないサターンVの試験飛行でした。月へ向かう飛行を想定した計画でしたが、打ち上げ後にロケットの振動やエンジン停止が起き、第3段の再点火にも失敗したため、計画を変更して帰還しました。
アポロ6号では、飛行中のロケットと宇宙船の性能を無人で調べました。一方、アポロ7号では、乗組員が操作する司令船を地球周回軌道で試し、乗組員がいる環境で機体システムや手順、地上支援を評価しました。
NASAはアポロ7号で司令船の適格性を確認し、その成果を受けてアポロ8号の選択肢を速やかに検討しました。NASA管理者トーマス・ペインは1968年11月11日、月周回飛行の実施可否を審査しました。











