
加齢に伴って細胞のリサイクル機能「オートファジー」が一律に低下するとは限らず、細胞の種類や性別によって変化の仕方が異なることが、健康な成人を対象にした研究で示されました。70歳を超える成人では、オートファジー活性が高いほど身体機能が低いことと関連し、5人が参加した運動介入では、活性の低下と身体機能の改善が並行して観察されました。
従来の加齢研究で見えにくかった変化
オートファジーは、細胞内の傷んだタンパク質などを分解し、再利用できる成分にする仕組みです。細胞の状態を保つ働きがあり、加齢に伴って機能が弱まるという見方が加齢研究で提案されてきました。
動物モデルや死後のヒト組織を使った研究では、加齢に伴うオートファジーの低下が示唆されてきました。一方、人の複数の細胞種で活性を直接調べた証拠は限られていました。
オートファジー関連遺伝子の発現量や、細胞内の関連構造の量といった静的な指標だけでは、分解の過程全体がどれほど進んでいるかを区別できません。遺伝子発現の変化が、実際のリサイクル活性の変化と一致するとは限らないためです。
細胞種と性別で異なる活性の変化
研究チームは、慢性疾患がないと自己申告した23〜72歳の成人から血液と皮膚の試料を集め、皮膚細胞から作製した誘導ニューロンも調べました。遺伝子発現の分析に加えて、細胞でオートファジーが進む速度も測定しました。
男性の皮膚細胞では、年齢が高いほどオートファジー活性が低下しました。女性の皮膚細胞ではおおむね一定で、女性由来の誘導ニューロンでは年齢とともに活性が上昇しました。
血液の単核細胞では、年齢とともに活性の個人差が広がり、高齢者で高くなる傾向が見られました。遺伝子発現の変化も細胞種によって異なり、発現量だけから実際の活性を推定できるとは限らないことが示されました。
70歳超では高い活性が身体機能の低さと関連
70歳を超える成人では、調べた3種類すべての細胞で、オートファジー活性が高いほど身体機能の指標が低いことと関連しました。血液細胞では有酸素運動能力の低さ、皮膚細胞ではBMIの高さとの関連が報告されました。
誘導ニューロンでは、活性の高さが握力の弱さ、代謝の低さ、安静時心拍数の高さと関連しました。これらは観察された関連であり、活性の上昇が身体機能の低下を引き起こしたことを示すものではありません。
小規模な運動介入と今後の研究
別の予備的な介入では、77〜88歳の5人が転倒リスクの軽減を目的とする12週間の軽い運動プログラムに参加しました。前後の血液検査では、血液細胞のオートファジー活性が若年者に近い水準へ低下し、身体機能の改善も並行して観察されました。
参加者が5人の小規模な結果であり、運動が活性や身体機能に与える影響を確かめるには、より大きな研究が必要です。研究チームは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の運動・身体活動リソースセンターと協力し、参加者数を増やした研究と検査方法の改善に取り組んでいます。
研究チームは、オートファジーを標的とする加齢対策を検討する際には、年齢や性別、対象となる細胞を考慮する必要があるとしています。








