flat lay photography of mushrooms
Photo by Andrew Ridley on Unsplash

女性は一部の作用を強く感じた

シロシビン、2C-B、LSDを用いた試験のデータをまとめた研究では、女性は男性より薬の影響を強く感じ、注意力の低下や思考を制御しにくい感覚も強く報告しました。血中薬物濃度に有意な男女差はなく、同じ曝露量でも主観的な反応が異なる可能性があります。

研究は査読前のプレプリントで、健康なボランティアを対象とした2つの試験を統合しています。参加者は知覚や思考に作用する薬物の使用経験があり、マジックマッシュルームではなく、研究用に製造された薬物を服用しました。

各試験では薬物と偽薬を別の日に投与し、参加者と直接対応する研究者には、どちらを受け取ったか分からないようにしました。研究チームは服用中の自己評価、終了後の質問への回答、血液検査のデータを分析しました。

反応の差は薬物や測定項目で異なる

統合されたデータは、72人が参加した試験から得られた94回の薬物セッションです。研究では年齢の違いを考慮し、主観的な急性作用、変性意識状態、共感に関する測定、薬物の血中濃度を比較しました。

女性は複数の主観評価で男性より高い値を示し、年齢調整後も5項目で差が認められました。薬の影響を感じる強さ、覚醒度の低下、思考や認知を制御しにくい感覚では、差が比較的明瞭でした。

すべての作用に差があったわけではありません。他者を理解したり感情に反応したりする共感の測定では有意な性差がなく、覚醒度の低下も、シロシビンと2C-Bでは差が見られた一方、LSDでは有意差が確認されませんでした。

投与量とホルモンが残す問い

試験では参加者の体重にかかわらず一定量を投与したため、体重が比較的軽い女性では血中濃度が高まる可能性が考えられました。しかし、測定した最高濃度と一定期間の総曝露量に有意な男女差はなく、体重だけでは報告された反応の違いを説明できませんでした。

研究チームは性ホルモンを含む別の要因も検討しています。レビューでは、エストロゲンなどの性ホルモンが神経伝達物質セロトニンの産生、放出、神経回路での利用に影響しうるとされています。シロシビンなどの古典的なサイケデリック薬は、主にセロトニン受容体の一種である5-HT2A受容体を介して作用します。

この重なりを踏まえ、ホルモン状態の変化がセロトニン系を通じてシロシビンへの反応に関係する可能性が論じられています。今回の試験ではホルモン値や月経周期を測定しておらず、ホルモンの寄与は検証されていません。

治療への応用には追加検証が必要

今回の研究は治療を受ける患者ではなく、健康なボランティアを対象にしています。また、性差を調べる目的で設計された試験ではなく、参加者数も限られていました。

研究では、複数の比較による偽陽性の増加を抑える調整も行われていません。研究を主導したナターシャ・メイソン氏は、女性に低用量が必要だ、あるいはサイケデリック支援療法への反応が良い・悪いと結論づけるのは時期尚早だと述べています。

げっ歯類を用いた研究をまとめたレビューでも、サイケデリック薬への神経・行動反応に性差があり、卵巣周期が一部の反応を変える可能性が論じられています。ただし、これは動物研究の知見で、人の治療にそのまま当てはめられる結果ではありません。より大規模な研究や患者を対象とする試験で、急性の体験差と治療効果、安全面との関係を検討する必要があります。