
ロシア軍がウクライナ南部ザポリージャに滑空爆弾5発を投下し、住宅建物が被害を受けました。地元当局によると、少なくとも32人が負傷し、がれきの下に取り残された人がいるとみられ、救助活動が続いています。
住宅建物が崩れ、救助活動が続く
滑空爆弾は土曜朝、ザポリージャ市内の住宅建物を直撃しました。現場の映像では、集合住宅の大部分が崩壊した様子が確認されています。
市のハルチェンコ市長代行は、建物の下層階が攻撃を受け、上の階が崩れ落ちたと説明しました。救助隊は80人以上で捜索にあたり、生存者の声を聞くため、作業を止めて耳を澄ますこともあるといいます。
ザポリージャは前線から16キロ未満の位置にあります。市はロシア軍の無人機やミサイルによる攻撃をたびたび受けています。
滑空爆弾は既存の爆弾に翼と誘導装置を加える
ロシア軍のUMPKは、通常の航空爆弾に取り付ける滑空・誘導キットです。折りたたみ式の翼と尾翼の操作面を備え、投下後に翼を開いて滑空し、爆弾を目標へ導きます。
誘導には慣性航法装置と衛星測位が使われ、尾翼を動かして進路を調整します。機体の高度や速度など、投下時の条件によって到達距離は変わります。
Defense Expressによると、標準型UMPKの有効射程は投下条件に応じて約60〜80キロです。改良型UMPK-PDは最大95キロに達すると報告されていますが、同社は試験中の型であり射程がさらに伸びる可能性にも触れています。
比較的低コストで射程を伸ばせる
Kyiv Independentは、無誘導爆弾を滑空爆弾に改修する費用を約2万ドルと報じています。同紙が示した巡航・弾道ミサイルの製造費は数百万ドル規模で、改修キットを使う方式は既存の爆弾を活用できます。
同紙によると、滑空爆弾は推進装置を持たないため、赤外線誘導ミサイルが捉える熱をあまり発しません。RAND Europeの研究者は、こうした性質から赤外線誘導ミサイルでの迎撃は難しいと説明しています。
一方、同紙が取材した専門家は、対空砲は迎撃に有効な場合があるものの、射程が短いため広い前線を守るのは難しいと指摘しました。発射機となる航空機は、滑空爆弾の射程を利用して防空システムから離れた場所で投下できます。
民間人の被害は2026年に増加
国連人権監視団によると、2026年1〜8月にウクライナで確認された民間人の死者は2,222人、負傷者は1万3,058人でした。2025年の同じ期間は死者1,694人、負傷者8,165人で、2026年は死傷者数が55%増えています。
2026年8月は、長距離兵器による死者が194人、負傷者が1,077人に上り、同月の民間人死傷者の47%を占めました。国連人権監視団は、被害の多くが前線から離れた都市部で発生したとしています。
同月、ザポリージャ市では民間人11人が死亡し、131人が負傷したと同監視団は記録しました。今回の攻撃は、民間人の被害が増えるなか、住宅地で救助活動が続く事例となっています。










