
観光客の写真をきっかけに6個を確認
タイ東北部のプー・プラ・バット周辺で、約1億2,000万年前の肉食恐竜の足跡が6個確認されました。観光客のピチャイ・プラテーサナーさんが足跡を見つけてFacebookに写真を投稿し、それをきっかけに調査が始まりました。
足跡はウドーンターニー県のプー・プラ・バット国立公園周辺にあり、3本の指が残るものもあります。専門家による現地調査の間、周辺は立ち入り禁止になりました。
6個の足跡は同じ歩幅で並び、足跡の間隔は約80センチでした。現地調査では輪郭を記録し、幅や長さ、足跡同士の間隔も測定されました。
足跡の大きさから分かる恐竜の姿
足跡の大きさは約29センチ×26センチです。形や深さ、足跡の間隔を手掛かりに、足跡を残した恐竜の体格や歩幅、歩き方を推定できます。
今回の足跡は、中型の肉食恐竜である獣脚類のものとされています。後ろ脚の高さは約1.4メートル、体長は6メートルを超えると推定され、タイで以前に見つかったシアモティラヌス・イサネンシスと同じ規模の恐竜に分類されます。
ただし、種の特定にはさらに調査が必要です。ウドーンターニー県で肉食恐竜の足跡が確認されたのは今回が初めてです。タイではこれまでに25種の恐竜が見つかり、そのうち13種は他の地域では確認されていません。
足跡列から速度や歩き方を推定する方法
足跡の解釈には、足跡そのものの長さだけでなく、同じ足の連続する跡の間隔である「歩幅」も使います。後ろ足の跡の長さから腰の高さを見積もり、歩幅と腰の高さの比率などを使って、足跡を残した動物の体格や速度を推定する方法があります。
アルゼンチン・パタゴニアの恐竜の足跡列を扱った研究では、歩幅と後ろ足の跡の長さを用いて速度を算出しました。推定値は毎秒0.5〜2.6メートルで、足跡列から推定される速度を示し、恐竜が出せた最高速度ではありません。
歩幅と腰の高さの比から、歩行・速歩・走行の区分を推定する考え方もあります。一方、四足歩行の竜脚類を対象にした別の研究では、前足と後ろ足の跡の組み合わせから、歩き方と体格を同時に探る方法が示されました。この方法は、歩き方やどの足跡同士を対応させるかといった仮定に左右される従来の推定を補います。
地層と水の流れが発見・保存に関わる
足跡が見つかった場所は、タイ東北部に広がるコラート層群のプー・パーン砂岩層に位置します。この地層は5県にまたがり、恐竜の足跡が見つかる地域です。
現地では雨季に水よけの土手が壊れ、水が川岸の土砂を削ったことで足跡が現れました。周辺には水が流れる場所もあり、鉱物資源局の担当者は、足跡の浸食を防ぐため、地元機関と水の流れを迂回させる計画を調整すると述べています。
足跡化石は骨そのものではありません。軟らかい地面に残った跡が固まり、古代の動物の活動を伝える化石です。現地では今後、保護や研究に加え、案内標識の設置も検討されています。










