日本初、既存トンネルを活用した地中型データセンターを開発
出典: mitsuifudosan.co.jp

三井不動産、熊谷組、ゲットワークスの3社は、神戸市の土砂運搬用トンネルを活用した地中型データセンターを開発し、2027年末にサービス提供を始める予定です。三井不動産によると、既存トンネルを使い、外部顧客へのサービス提供を目的に開発する商用データセンター事業としては日本初です。これは2026年9月時点の同社調査に基づきます。年間を通じて15~20℃に保たれる地中空間に設備を設置し、将来は最大受電容量20メガワット規模での運用を目指します。

日本初、既存トンネルを活用した地中型データセンターを開発
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土砂運搬を終えたトンネルの約3キロを活用

対象は、神戸の山と海を総延長14.5キロで結ぶベルトコンベア用の跡トンネルです。神戸市は2005年9月まで造成用の土砂運搬に使用し、住宅団地や産業団地の整備、神戸空港の埋め立てなどに活用していました。

三井不動産と熊谷組は、トンネルのうち約3キロ、面積約1万7,000平方メートルを対象とする貸付の条件付き入札で、2026年9月4日に落札者に決まりました。既存トンネルの大部分は、地下約40メートルより深い場所にあります。

3社は、この空間にコンテナ型のデータセンター設備を設置します。初期開発では、生成AIなどの計算に用いるGPUサーバーに対応し、地下水を循環利用する水冷方式を導入する計画です。最大受電容量20メガワットは将来の運用目標で、サービス提供開始は2027年末を予定しています。

地中の冷涼性と水冷設備を組み合わせる

3社は、トンネル内の冷涼性、耐震性、外部からの接近が限られることによる物理的安全性を活用します。既存空間の利用によって、建設時の環境負荷の低減や事業化までの期間短縮も図れると考えています。省エネルギー性や運用効率の向上も目指す計画です。

神戸の計画では、冷涼な空間の利用に加え、サーバーの発熱に対応する水冷設備を組み合わせます。電子部品メーカーのMolexは、AIや機械学習の処理によってサーバーの電力密度が高まり、従来の空冷では十分に熱を取り除けない場合があると説明しています。

Molexが扱う液冷技術には、発熱する部品に接触させる冷却板「コールドプレート」があります。部品との熱的な接触を保ち、液体によって熱を取り除く方式です。神戸の施設で導入予定の地下水を使う水冷方式とは別の設備です。

海外の鉱山跡地では海水と熱交換器を利用

地下施設をデータセンターに転用した例として、ノルウェー西海岸のLefdal Mine Data Centersがあります。鉱山跡の内部に設けられた施設で、6つの階層と75の区画から構成されています。

冷却には、隣接するフィヨルドの年間を通じて8℃の海水を使います。水深100メートルから取り込んだ海水を熱交換器へ送り、顧客のIT設備まで循環する閉鎖型の淡水回路を冷やす仕組みです。Lefdal Mine Data Centersは、この淡水回路を直接液冷や液浸冷却など複数の冷却方式に利用しています。

IT設備から戻る温水は、熱交換器を通じて海水へ熱を渡します。海水は8℃から20℃に温まり、フィヨルドへ戻すか、廃熱利用に回す構成です。

物理的安全性を確保するため、地下空間の構造と運用上の管理を組み合わせています。Lefdal Mine Data Centersは山中の施設への入口を1カ所とし、外周の柵や高セキュリティのゲート、内外の監視カメラを設置しています。警備員が常時監視し、地下に入る人には追跡装置の携行を求めるほか、権限のない区域への入場や扉の開放を検知する仕組みも運用中です。

コンテナ設備を運営し、全国への展開を目指す

神戸では、地中空間の特性に加え、ゲットワークスのシェルター型コンテナデータセンター技術を活用します。3社は、大規模災害や外部リスクへの対応力を高め、企業や自治体などが持つ重要データの保管にも対応する計画です。

事業地の開発は三井不動産と熊谷組が担い、コンテナ型データセンターはゲットワークスが運営します。パシフィックコンサルタンツは事業化の検討と設計を支援し、整備工事は熊谷組が担当する予定です。熊谷組は、今回利用するトンネルの施工にも携わりました。

三井不動産は神戸での事業を、役割を終えた地中空間を活用するモデルの第一歩と位置付けています。開発・運営・技術のノウハウを蓄積し、全国のトンネルや鉱山跡地などを使った地中型データセンターの複数拠点展開を目指します。