
三重リコピーとトモHDは、三重県内のハウスで国産バニラの試験栽培を進めています。温度や日照などをセンサーで管理し、両社は2028年冬にバニラビーンズの基になるさやを初収穫する予定です。
100平方メートルのハウスで200株を栽培
三重リコピーは事務機器やIT機器の販売・保守を手がけ、トモHDは給食や美容事業などを展開しています。バニラの栽培は、三重リコピーが所有する農業用ハウスで行っています。
両社は2025年春に苗を植え、現在は200株を育てています。長く伸びた株は3メートルに達し、両社の社員5人がつるの誘引や施肥、植え替えなどを担っています。
三重リコピーは2024年春にブドウ栽培を始め、その後トモHDとバニラの試験栽培に取り組みました。家庭菜園や収穫体験を福利厚生に活用することも、ブドウ栽培を始めた理由の一つです。
センサーで温度や日照を調整
ハウスでは内外に設置したセンサーで、温度、湿度、日照量、二酸化炭素濃度を計測しています。日照量を調整するカーテンや天窓の開閉、ミスト装置と暖房機の稼働は自動化されています。
天窓はハウス内を15〜35度に保つために開閉し、カーテンは日照量に応じて調整します。両社は生育状況や施肥量のデータも集め、今後の栽培管理に生かす計画です。
三重リコピーは、農業で得たデータ活用や遠隔管理の知見を、既存事業の顧客への提案にも生かす考えです。例として、工場でのデータ活用やカメラを使った倉庫の遠隔管理を挙げています。
開花後も受粉と成熟に時間
バニラはつる性のラン科植物で、栽培では花の人工授粉が必要です。東アフリカの栽培事例では、開花期に毎朝、短時間のうちに一株ごとの花を処理します。
受粉したさやは、収穫できるまで8〜9カ月かかります。収穫直後のさやにはバニラの香りがなく、香りのあるバニラビーンズにするには収穫後の加工が必要です。
三重県内の試験栽培では、両社がつるの誘引や施肥などを続けながら生育状況を記録しています。初収穫の予定は2028年冬です。
収穫後は発酵と乾燥で香りを引き出す
バニラビーンズの加工は「キュアリング」と呼ばれ、加熱、発酵、乾燥、調整の4段階を経ます。伝統的な工程では、最終製品になるまで3〜4カ月かかります。
加工後のさやは生の状態と比べて重量が約5分の1になります。さやの形や色、乾燥の度合い、バニリン含有量などの品質は加工工程で決まり、流通価格にも関わります。
両社は初収穫したさやをスイーツや化粧品の原料に使う考えです。三重リコピーの喜田崇事業戦略室長は、農業で得たデータ活用や遠隔管理のノウハウを既存事業にも応用できるとして、「農業と自社の本業にはシナジー効果がある」と述べています。






