劇場アニメ「どこよりも遠い場所にいる君へ」は、主人公の和希と七緒が自転車で島を走る本編映像を公開しました。自転車をCGで動かして人物の作画と合わせる方法に加え、難しいカットでは車体も手描きにする方法が採用されました。

自転車と人物の動きを合わせる難しさ

制作当初は自転車をCGで作り、その動きに合わせて人物を手描きする手法が採られていました。サドルやペダル、ハンドルの位置と動きを、人物の作画に合わせて調整する方法です。

この方法では、坂道を上る場面や、画面の手前へ走ってくる場面で、CGの自転車と手描きの人物を自然に見せることが難しかったといいます。とくに自転車のカゴは細かな部品が入り組んでおり、作画上の課題になりました。

そのため、最終的には自転車全体を手描きで表現するカットも作られました。一方、すべてのカットを同じ方法に統一せず、カゴより前をCG、後ろを手描きにするなど、場面ごとに使い分けています。

CGと手描きをカットごとに選択

CGは、物体を立体的に作って動かし、位置や向きを調整する制作方法です。人物を手描きで重ねる場合、車体の動きに合わせて接点や姿勢を揃える必要があり、坂道や手前へ向かう動きでは調整が難しくなりました。

手描きでは、自転車と人物を同じ絵の中で描けます。今作では自転車にもこの方法を取り入れ、CGとの組み合わせも残し、カットに応じて使い分けています。

サブリメイションの髙田亮太郎氏らは、別作品の制作事例で、3Dレイアウトが画面内の配置やカメラ位置を決め、後工程に伝える土台になると説明しています。また、3Dで人物や小道具の位置関係を揃え、作画スタッフが描く際の目安にする方法も紹介されました。一方、3Dモデルの準備には時間がかかり、誇張したアクション表現は得意ではないという課題も挙げられています。

冒頭では1974年の街並みを描写

自転車の場面に加え、和田純一監督が演出処理を担当した冒頭の自動車のデザイン画も公開されました。冒頭は1974年の街並みを白黒で表現し、一瞬だけ映る自動車も当時のものとしてCGで制作されています。

和田監督は、映画の導入に「アニメっぽいケレン味」を取り入れたかったと話しています。原作者の阿部暁子も、1974年の街並みが映る冒頭を見て「アニメ、ずるい!」と感動したとコメントしました。

公式サイトによると、物語は采岐島の高校に進学した月ヶ瀬和希が、1974年から来たという秋鹿七緒と出会うところから始まります。映画は10月9日に全国公開予定です。監督は和田純一、アニメーション制作はトムス・エンタテインメントが担当します。

映画の設定と公開日

舞台となる采岐島には「神隠しの入り江」と呼ばれる場所があり、和希はそこで倒れている七緒を見つけます。七緒は和希と、その場にいた高津に保護され、和希はその後も彼女のもとを訪れるようになります。

「どこよりも遠い場所にいる君へ」は10月9日(金)に全国公開されます。和希役は石橋陽彩、七緒役は永瀬アンナです。