台湾の駐米代表アレクサンダー・ユイ氏は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談後も、米国の台湾政策に変更はないと説明されたことを明らかにしました。一方、台湾向けの140億ドルの武器売却案は停滞しており、ユイ氏は装備の納入を早めるよう求めています。台湾への武器供与をめぐっては、政策上の約束に加え、生産能力や納入の順番が課題になっています。
ユイ氏が説明した米台関係
ユイ氏はブルームバーグの番組で、米国から台湾政策は変わらないとの説明を受けたと述べました。また、台湾は米国との経済関係を深めるため、半導体などの産業に大規模な投資を進めていると説明しました。
米国の台湾政策には、台湾関係法や米中間の共同コミュニケに加え、1982年に米国が台湾に伝えた「六つの保証」が関係します。台湾関係法は台湾の自衛に必要な防衛的な武器の提供を定める一方、米中共同コミュニケは米国が台湾への武器売却を段階的に減らす意向を記しました。両者は異なる枠組みであり、米国と中国は武器売却の扱いについて異なる解釈を示してきました。
六つの保証には、台湾への武器売却を終える期限を設けないこと、中国と売却を事前協議しないこと、米国が台湾と中国の交渉を仲介しないことなどが含まれます。ユイ氏によると、米国側は「政策は不変」と説明し、従来の枠組みを維持する姿勢を示しました。
武器売却の停滞と納入の遅れ
停滞している140億ドルの売却案について、ユイ氏は納入の迅速化を求めました。2026年5月時点で、米議会に通知済みで台湾に未納入の武器売却案件は総額297億2000万ドルでした。台湾国防部によると、過去10年間に合意した主要な23案件のうち、全量納入済みは5件、一部納入は3件で、15件は生産中です。
納入が遅れる要因には、兵器の生産能力や受注の順番、米軍自身の需要などがあります。武器は売却決定時点で完成品が用意されているとは限らず、製造に時間がかかる場合があります。また、同じ装備を求める顧客が並ぶ場合や、米軍向けの需要が優先される場合も、納入時期に影響することがあります。
台湾安全保障モニターは2026年5月の更新で、パラディン自走榴弾砲の納入開始は2030年になる見通しと報じ、米国の生産能力と受注待ちを理由に挙げました。トランプ氏が米中首脳会談後、台湾への武器売却を交渉材料と呼び、判断を保留する姿勢を示したことも、同モニターが伝えています。政策判断の停滞と契約後の生産・納入の遅れは別の段階で起きるため、売却案が進んでも装備がすぐ届くとは限りません。
経済関係の強化も並行
ユイ氏は、武器の納入を求める一方、半導体などへの投資を通じて米国との経済関係を深めていると述べました。









