大会まであと - Asian Games 2026
出典: aichi-nagoya2026.org

愛知・名古屋アジア大会では、宿泊施設の不足や会場案内の誤り、国歌・国旗をめぐる不手際が相次ぎました。参加者は約1万7,000人に達し、選手数だけでもパリ五輪を上回る規模でした。大会運営を担った組織委員会は対応に追われ、パラ大会でも国歌の誤演奏が続いています。

宿泊施設と式典で相次いだ不手際

選手村を建設せず、名古屋市内のホテルやコンテナ型施設に参加者を分散して収容する計画でした。組織委員会は当初、開催都市契約に基づき代表団メンバー1万5,000人分の宿泊を手配していましたが、競技の追加などで人数が2,000人増え、計1万7,000人になりました。

追加分の受け入れで宿泊施設が足りなくなり、客室1,500室を備えるイタリアのクルーズ船も使われました。当初、組織委員会は後から加わった参加者に自力で宿を手配するよう求めましたが、その後、アジア・オリンピック評議会と共同声明を出し、1万7,000人を超える参加者に大会に適した宿泊先を用意するとしました。

大会中は選手が誤った会場へバスで運ばれ、韓国男子ホッケーチームの試合で北朝鮮の国歌が流れました。男子サッカーの金メダル授与式では韓国国旗が正しく掲揚されず、台湾のスポーツ相が一時、旗の掲揚式への入場を認められない場面もありました。

競技規模はパリ五輪を上回る

愛知・名古屋大会には45カ国・地域から1万1,000人を超える選手が参加し、競技は43種目に及びました。パリ五輪の選手数は約1万700人で、選手の参加人数ではアジア大会が上回りました。

ただし、2023年に中国・杭州で開かれた前回大会では、選手は約1万2,000人でした。今回の選手数はそれを下回る水準です。 1951年の第1回大会は489人で、1958年の東京大会では1,820人、1990年の北京大会では6,122人でした。大会の規模は、長期的には拡大しています。

競技数の多さも運営の規模を示します。アジア大会には陸上や水泳などに加え、カバディ、セパタクロー、クラシュなど地域色のある競技が含まれ、テックボールやパデルも実施されました。競技日程の一部は開会式より前に始まり、バスケットボールは開会式の9日前に競技を開始しました。

GL eventsが担った運営業務

会場運営を担当したのは、フランスのイベント会社GL eventsの日本法人です。契約額は630億円で、広告大手の電通グループを上回って受注しました。共同通信に情報源を明かさなかった関係者は、GL eventsの提示額が他社より「圧倒的に安かった」と述べています。

GL eventsはパリ五輪で60カ所を超える会場にチームを配置し、仮設設備の70%を提供しました。競技場の仮設スタンドには16万席を設け、ヴェルサイユ宮殿では馬術競技19種目の会場設営を担当しました。

同社はパリ五輪で、会場の仮設インフラや電力供給にも関わりました。 GL eventsは、イベントの企画から制作までを手掛ける「Live」、展示会の設計・運営を行う「Exhibitions」、会場を管理する「Venues」の3部門で事業を展開しています。 国際大会での業務経験はあった一方、今大会では宿泊手配や輸送、式典対応を含む広範な運営が課題になりました。

大会後も続く影響

組織委員会の副事務総長、大見隆明氏は、予想外の問題が相次いだと認めました。大会期間中に選手の意見を聞き、必要な改善や対策を講じたとも述べています。

大阪大学で大型スポーツイベントを研究する富山浩三教授は、問題が日本の国際的な信頼を損ねれば、将来の国際大会誘致にも影響し得ると指摘しました。また、GL eventsの経験不足だけに原因を求めず、契約で与えた責任範囲や、選定・監督の基準も検証すべきだとしています。

大会期間中には水泳、重量挙げ、射撃で54の世界記録が生まれました。一方、パラ大会でも3競技で誤った国歌が流れ、名古屋市長の広沢一郎氏は「受け入れられない」と謝罪しました。富山教授は、今回の経験を次の大会運営に生かすことを期待しています。