【日本俳優連合】生成AI時代における声の権利を守り、健全な業界発展を導く「音声に関する生成AI利用ガイドライン」発表 - Japan Actors Union | 日 本 俳 優 連 合
出典: nippairen.com

日本俳優連合は、生成AIによる俳優・声優の音声利用について、本人の同意と報酬を求めるガイドラインを公表しました。故人の声は、生前に本人が許可した場合を除き、再現しないことを原則としています。指針は、学習から翻訳まで、利用段階ごとのルールを定めています。

日本俳優連合が示した4つの利用ルール

指針は、生成AIの各段階で俳優本人の許可を得るよう求めています。AI企業が俳優の演技を学習に使う場合も、音声を生成して公開・利用する場合も、本人の同意が必要です。

AIによる音声の複製は、新たな演技として扱います。通常の出演料とは別に、AI音声の利用に対する報酬を支払うよう求めています。

別の言語に翻訳する場合は、元の演技の芸術性を保ち、海外地域で利用する際にも本人の許可を得るよう求めています。

故人の声は生前の許可を原則に

故人の声は、本人が生前にAI利用を明示的に許可していない場合、生成AIで再現しないことを原則としています。生前の許可がある場合も、遺族や所属していた事務所・会社の許可を得て、使用料を支払うよう求めています。

この指針は法律ではなく、AI企業を法的に拘束する規則ではありません。日本俳優連合は、業界内での採用を促すとともに、政府に「声の権利」を守る法規制を求める方針を示しています。

津田健次郎さんの訴訟で示された声の保護

東京地裁は、声は肖像と同じく個人の人格を象徴し、実演家の声が顧客を引き付ける力を持つ場合、その力の利用を主な目的として無断使用すれば、パブリシティー権の侵害になり得るとの考えを示しました。パブリシティー権は、著名人の氏名や肖像などが持つ経済的な価値を保護する権利です。

津田さんは、本人の声に似たナレーションを使ったTikTok動画の削除を求めました。対象の動画は都市伝説や心霊現象などを扱い、投稿者は2024年7月から2025年9月までに188本を投稿していました。

裁判所は、投稿者がアカウントを削除し、対象動画も運営会社のサーバーから削除されたことを理由に、請求を退けました。動画がパブリシティー権を侵害したか、不正競争防止法に基づく請求が認められるかは判断していません。

米国の契約ルールとの違い

米国の俳優組合SAG-AFTRAの2026年契約は、組合員を対象とする制作契約上のルールです。雇用に基づいてデジタル複製を作成するには、少なくとも48時間前の通知と、通常の契約条項とは分けた署名などによる同意を求めています。

同契約では、複製を利用する際にも用途を具体的に示した同意が必要です。報酬は、対面で演じた場合の出演料などを基準に定めています。

外国語吹き替えの扱いにも違いがあります。SAG-AFTRA契約では、2027年7月1日以降に締結する契約について、AI生成音声を外国語吹き替えに使う際に同意が必要になりますが、この場合、報酬要件は適用されません。日本俳優連合の指針も、AI翻訳による外国語利用に本人の許可を求め、元の演技の芸術性を保つよう求めています。