
MITの研究チームは、縫製した布型枠を使い、従来型の梁と同じ荷重を支える設計で、コンクリートを約3分の1、鉄筋を半分に減らした3メートルの梁を試作しました。布型枠の変形を計算に取り入れ、複雑な形状を通常の型枠より簡素な設備で作る方法を示しました。
3メートルの梁で材料を削減
試作した梁は、上部の部材、斜めに伸びる細い脚、鉄筋を通す薄い底部で構成されています。従来型の梁と同じ重量を支える設計と比べ、コンクリートの使用量は約3分の1、鉄筋量は半分でした。
研究チームは、梁の形を決めるために二つの設計手法を組み合わせました。グラフィック・スタティクスで鉄筋の経路を設計し、トポロジー最適化で構造への寄与が小さい部分からコンクリートを取り除きました。
完成した梁のうち1本に水入りバケツを載せ、設計荷重の約30%まで段階的に荷重を加えました。中央部のたわみは、荷重を加えた際の下向きの変位を指し、コンピューターモデルの予測値との差は約2%でした。
平面の布から目標形状を作る
布型枠は、平らな布片を縫い合わせて容器を作り、そこへコンクリートを流し込む方法です。布は液体の圧力で変形するため、布片の形だけでなく、吊るす向きや支えの位置も、固まった後の形に関わります。
2019年には、目標とする立体形状をもとに、縫い合わせる平面パネルと型枠の向きを計算し、外部の支えを置く位置も決める逆設計の手法が示されました。逆設計とは、完成形から必要な材料形状や製作条件を求める方法です。
その計算では、布を押し広げる液体の圧力と、張られた布が生む張力の釣り合いを扱います。平面の布片を縫って型枠を作り、液体を注いで支えを配置し、目標形状に近づけます。MITの梁では、3D設計を平面の布片へ変換する自動工程に、コンクリートを入れた際の布の変形を織り込みました。
縫い目の数と施工方法
同じ梁の設計を、布片36枚、56枚、76枚の三つの型枠で試しました。縫い目を増やすと布の局所的な形を制御しやすくなりますが、裁断や縫製、組み立てのずれが積み重なる可能性もあります。
3Dスキャンで完成形を比べた結果、56枚の型枠は、重要な形状を捉えながら、最も複雑な型枠に伴う作業や誤差を抑えるバランスを示しました。梁の上面は設計に近く、底部には下向きのたわみがあり、斜めの脚は少し内側に折れました。
布には水が染み出すため、流動性が高すぎるコンクリートでは水分が失われ、型枠が押されて形が変わるおそれがあります。チームは砂を多く含み、小石を少量使った比較的湿った配合を用いました。狭い脚や薄い底部にも材料が行き渡るよう、手で詰め、外側から布をたたきました。
布型枠が生む構造の選択肢
布型枠を使ったコンクリート研究には、縫製した布を使う方法のほか、コンピューター制御で編んだ型枠を使う取り組みもあります。KnitCreteは、編み物による型枠を現場に残す方式で、複雑な形のコンクリート構造を作る研究に用いられています。
2023年の研究では、3Dニット型枠とロボットによる吹き付け施工を組み合わせ、歩行者用橋の実物大モデルを製作しました。型枠を編む工程とコンクリートを吹き付ける工程を、デジタル設計の流れに組み込んだ実証です。
MITの梁は、布を縫って型枠を作り、コンクリートを手作業で流し込む方式です。従来の布型枠では複雑な形状の予測や製作に手間がかかっていました。今回の梁では、自動パターン設計で形状を見込んだ型枠を作り、短い建物スパンに相当する3メートルまで試作しました。
用途とコストの条件
布型枠の経済性は、材料費と人件費の地域差で変わります。研究チームの比較では、労働費に対して材料費が高いグローバルサウスでは、三つの布型枠仕様すべてが従来型より約10〜20%安くなりました。
一方、縫製の人件費が高いグローバルノースでは、布型枠仕様は約16〜55%高くなりました。繰り返し作る一般的な矩形梁では、労働費が高い地域ほど、再利用できる従来型の型枠が経済的とされています。
研究チームは、露出梁、屋根や長スパンの骨組み、歩行者用構造物、景観要素など、少量生産や一品製作の部材を用途に挙げています。布型枠の準備には、部材に合わせたデジタルパターン、ミシン、適した布、簡単な木製の支持枠を使います。
今回の3メートル梁は概念実証で、研究チームは今後、複数の梁を破壊に至るまで試験する予定です。梁を長くすると、自重と布型枠にかかる圧力が変わるため、設計を単純に拡大せず、新たに設計する必要があるとしています。











