A field of pink wildflowers occupies the foreground. Four white dish antennas, part of a radio astronomy observatory, are out of focus in the background.
出典: science.nasa.gov

西オーストラリア州の乾燥地帯では、2026年の冬に野生花が広がり、通常は赤茶色に見える土地が緑や花の色で覆われました。NASAの衛星画像は、前年の同じ時期と比べて植生が増えた様子を捉えています。地元の専門家は、約20年ぶりの規模の開花となる可能性があるとみています。

豪州マーチソン地域、冬の多雨で野生花が広がる
出典: science.nasa.gov

衛星画像が捉えた前年からの変化

NASAと米国地質調査所(USGS)のLandsat 8衛星に搭載された観測装置OLIは、西オーストラリア州マーチソン地域を撮影しました。2025年8月19日と2026年8月30日の画像を比べると、後者では植物が茂った範囲が目立ちます。

撮影地は州都パースの北約600キロにあり、羊や牛の放牧地として利用されています。普段は乾燥に適応した草やソルトブッシュ、成長の遅い常緑樹マルガが多く、野生花の咲き方は降雨量によって大きく変わります。

2026年の開花は、数カ月続いた平年を上回る降雨の後に見られました。地面の乾燥期を休眠して過ごしていた種子が発芽し、晩冬には広い範囲で花が咲きました。

冬の雨が休眠種子を目覚めさせる

オーストラリア気象局によると、マーチソン地域では2026年6月の降水量が平年を上回り、8月は平年よりかなり多くなりました。複数の寒冷前線が水分をもたらし、乾燥した土壌にあった種子の発芽につながりました。

この地域では野生花が定期的に咲きますが、花の量は毎年一定ではありません。今回は雨の多い時期が続き、草地や低木地に色とりどりの花が広がりました。地元の専門家は、約20年ぶりの見事な開花となる可能性を挙げています。

開花はマーチソン電波天文台の敷地にも及び、そこでは絶滅危惧種も確認されました。マーチソン電波天文台は、かつて牧畜に使われていた土地にあり、こうした脆弱な植物の追跡にも関わっています。

花のそばで続く電波天文学

マーチソン電波天文台は、宇宙から届く電波を観測する施設です。運営するオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のアンテナ群は、南天の天体を観測・記録しています。

マーチソン電波天文台は、電波望遠鏡への干渉を抑えるため、通信や電子機器の電波利用を管理する「電波静穏地帯」の中にあります。オーストラリア政府と西オーストラリア州政府が設けたこの区域は、マーチソン電波天文台を中心とし、電波通信機器や電気機器の信号レベルを制御します。

区域は、中心から半径70キロの内側区域、70〜150キロの外側区域、周波数に応じて最大260キロまで広がる調整区域で構成されます。内側区域では電波天文学が優先され、ほかの電波利用は二次的な扱いです。外側区域では、電波天文学と牧畜や鉱業などの活動が共存できるよう調整します。

電波干渉を抑える仕組みと宇宙探査

区域内で送信機を使う申請者は、計画について天文台の運営主体に相談します。CSIROは送信による干渉の見積もりや観測への影響を評価し、必要に応じて送信塔の位置、周波数、出力の変更や機器の遮蔽などの対策を検討します。

提案された送信の干渉が規定のしきい値を超える場合、申請者は信号を基準以下に抑える対策を実施します。内側区域の鉱業・探査では、無線送信だけでなく、機械や車両からの電波も含めた管理計画が求められます。

オーストラリアの別の電波望遠鏡も、NASAの宇宙探査を支えてきました。ニューサウスウェールズ州パークスのマリヤン望遠鏡は1962年にマリナー2号を追跡し、1969年のアポロ11号では通信の受信局を務めました。CSIROが管理するキャンベラ深宇宙通信施設とパークスの望遠鏡は、2026年4月のアルテミスIIミッションにも協力しました。