
農地周辺の雑草9種を調べた実験で、除草剤ジカンバの低濃度の飛散に対する反応は、植物種だけでなく生育環境によっても異なりました。短期的な成長への影響が小さい植物ほど、花の生産や種子形成への影響も小さくなる傾向が示されています。
3州の実験で見えた種ごとの反応
実験は米国のミシガン州、ペンシルベニア州、テネシー州で行われました。研究者らは共通の栽培条件を設け、9種の雑草に通常の散布より低い、飛散に相当する量のジカンバを与え、生育や繁殖への影響を調べました。
ジカンバを受けた一部の種では、種子形成などの適応度が低下しました。一方、影響が見られず、飛散への耐性が高いとみられる種もありました。
耐性の種間差はミシガン州でより大きく、ペンシルベニア州やテネシー州では小さくなりました。ミシガン州での差の一部は、各地点で確認された昆虫による食害の強さと関連していました。
成長への影響が花と種子にもつながる
ジカンバは、植物の成長を調節するホルモンの一種であるオーキシンに似た働きをする選択性のある除草剤です。対象となる雑草の葉や根から吸収され、植物体内へ移動します。
植物の中では、ジカンバがオーキシンの作用をまねて、細胞分裂や成長に異常を起こします。散布粒子の飛散や薬剤の揮発による移動によって、対象外の植物も影響を受けることがあります。
研究者らは別の追跡実験で、成長や繁殖に関わる形質と適応度の関係を構造方程式モデリングで分析しました。その結果、飛散後の短期的な成長への影響が小さい雑草は、花の生産への影響も抑え、最終的な種子形成を維持しやすいという経路が示されました。
生育環境で耐性の差が変わる
植物が受ける影響は、ジカンバへの反応だけで一律に決まるわけではありません。今回の結果では、3州で耐性の種間差が異なり、ミシガン州では昆虫の食害の強さがその差の一部と結びついていました。
農地周辺の雑草群落には、気候などの非生物的条件と、食害のような生物的条件に違いがあります。実験結果は、こうした環境の違いを考慮しないと、飛散が雑草の繁殖に及ぼす影響を十分に捉えにくいことを示しています。
農地周辺の雑草は、送粉昆虫などの野生生物に資源を提供する植物群落の一部です。種ごとに繁殖への影響が異なれば、飛散が続く環境では群落を構成する種の割合が変わる可能性があります。
研究結果が示す範囲
研究成果は、査読を経ていないプレプリントとして公開されています。










