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出典: American Academy of Sleep Medicine – Association for Sleep Clinicians and Researchers

35人が睡眠条件を変えて運動

睡眠を4時間未満に制限した健康な男子大学生は、通常の睡眠後より上腕二頭筋の等尺性運動を早く続けられなくなりました。筋肉の疲労指標には条件間で統計的有意差がなく、研究チームは脳内ネットワークの連携の変化が運動時間の短縮に関わった可能性を示しました。

実験に参加したのは、筋力トレーニングを習慣にしている健康な男子大学生35人です。各参加者は3日以上の間隔をあけて2つの睡眠条件を経験し、通常条件では7時間超、制限条件では午前3時まで起きて午前7時に起床しました。

等尺性収縮は、筋肉の長さを変えずに力を出す運動です。参加者は壁にもたれて右腕を90度に曲げ、最大上腕二頭筋力の30%に相当する負荷を受けながら、疲労で姿勢を保てなくなるまで運動を続けました。

睡眠不足時は運動中の脳活動が変化

研究チームは頭皮の電極で脳波を測定し、筋電図で上腕二頭筋の活動を記録しました。脳波から、安静時や内省に関わるデフォルトモード・ネットワーク、注意や目標志向の作業を担う中央実行ネットワーク、運動を計画・実行する感覚運動ネットワークなどの連携を調べました。

睡眠制限後の安静時には、複数のネットワーク間の結びつきが強まり、特に中央実行ネットワークと他のネットワークとの連携が高まりました。研究チームは、覚醒を保つために脳が補償的に活動している状態と解釈しました。

運動を始めると、睡眠制限後の脳では、十分に眠った後と比べて複数の周波数帯でネットワーク間の結びつきが弱まりました。感覚運動ネットワークとデフォルトモード・ネットワーク、重要な感覚情報の選別などに関わるサリエンス・ネットワークとの連携も低下しました。

筋肉の疲労より脳の制御が焦点に

筋電図では、2つの睡眠条件で末梢の筋疲労の進み方に統計的な差は見られませんでした。一方、睡眠制限後は参加者が課題を早く終えていました。研究チームは、筋肉自体の疲労よりも、脳が運動を支える信号を維持しにくくなった可能性を挙げました。

通常の睡眠後は、感覚運動ネットワークとデフォルトモード・ネットワークの結びつきが弱い参加者ほど、運動を長く続ける傾向がありました。研究チームは、安静時の思考などに関わるデフォルトモード・ネットワークを抑え、脳の処理を運動に向ける働きが関係すると解釈しました。

睡眠制限後にはこの関係が逆転し、両ネットワークの結びつきが強いほど運動を長く続ける傾向が見られました。研究チームは、睡眠不足の脳がデフォルトモード・ネットワークを抑える代わりに、運動の維持に動員しようとしている可能性を示しました。

成人の推奨時間と運動成績の知見

米国睡眠医学会は、成人が健康や日中の覚醒を保つため、定期的に一晩7時間以上眠ることを推奨しています。個人によって必要な睡眠時間には差があります。この推奨の最小時間と比べると、実験の4時間未満は3時間を超えて短い条件です。

別の研究統合では、45件の研究を対象に、睡眠剥奪とスポーツ成績、主観的な運動強度の関係が分析されました。睡眠剥奪は、競技者の有酸素持久力、爆発的パワー、最大筋力、速度、技能制御の成績低下と関連しました。

同じ分析では、健康な非競技者でも有酸素持久力の低下が報告されました。また、主観的運動強度の評価も上昇しました。これらは今回の等尺性収縮とは異なる運動課題を含む結果で、単一の運動実験で見られた脳活動の変化とは別に報告された知見です。

今回の実験は若く健康な男性を対象とした一度の強い睡眠制限で、課題も一定強度の静的な上腕運動に限られます。研究チームは、女性や高齢者、臨床集団、慢性的な睡眠不足、ランニングやウエイトトレーニングなどでは異なる結果となる可能性を研究上の限界として挙げ、意欲や気分も今後検討する要素としました。

woman sleeping on bed under blankets
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