出典: karapaia.com

93カ国のデータで見られた関連

日本を含む93カ国を対象にした分析では、人口あたりの猫の数が多い国ほど、国民の幸福度が高い傾向が見られました。所得や医療費、国内総生産(GDP)、猫の数、トキソプラズマの感染率を比較した結果です。

研究成果は2026年9月30日付で学術誌『PLOS One』に掲載されました。この研究は国ごとのデータを比較したもので、猫を飼うことで個人の幸福度が上がるかどうかを調べたものではありません。

猫が多い国では、GDPや所得も高い傾向がありました。研究チームは、経済的な豊かさや公衆衛生、猫の飼育環境が幸福度との関連に関わる可能性を挙げています。

猫の数と感染率は同じ動きを示さず

トキソプラズマは、猫を終宿主とする寄生虫です。人は、猫のフンに含まれる卵のような形態(オオシスト)を口から取り込むほか、感染した動物の肉からも感染します。

今回の国別分析では、猫の数が多い国ほどトキソプラズマの感染率も高い、という結果にはなりませんでした。一方、感染者の割合が高い国では、国民の幸福度が低い傾向が見られました。

研究チームは、所得や公衆衛生の水準が高い国では猫が室内で飼われ、飼育管理も行き届きやすいと説明しています。猫の数だけでは感染率を説明できず、飼育環境も関係するという見方です。

トキソプラズマの感染経路と予防

人への感染経路は猫のフンだけではありません。済生会は、フンで汚染された土や、加熱が不十分な肉も主な感染源として挙げています。

食品安全委員会事務局は調査報告書で、加熱不十分な豚肉、羊肉、山羊肉や山羊乳をリスクのある食品として説明しています。感染した動物の筋肉などにあるシストを食べて感染する場合もあり、食肉を介した経路は猫のフンとは別に考える必要があります。

予防には、肉を十分に加熱することが重要です。済生会は、猫のフンや土に触れた後、病原体を口から取り込まないことも感染予防につながると説明しています。妊娠中に初めて感染すると胎児へうつる可能性があるため、感染経路を知っておくことが大切です。

個人の幸福度をめぐる研究との違い

国単位の分析とは別に、ペットを飼う人と飼わない人を比べた研究もあります。ペトハピが紹介した英国の研究では、世帯調査データを使い、ペット飼育と生活満足度の関係を分析しました。

同研究では、隣人が旅行中に留守宅を見守る頻度を操作変数として用い、幸福感に関わる別の要因の影響を除こうとしました。ペトハピは、犬または猫の飼育と生活満足度の間に因果関係が示されたと紹介しています。この研究は、国ごとの猫の数を比べた今回の分析とは対象も方法も異なります。

一方、CatAbroadが紹介した米デンバー都市圏州立大学の研究は、ペットを飼う成人と飼わない成人の自己申告による幸福度などを比較した横断調査です。ペット飼育者は幸福度や生活満足度を高く報告し、猫や犬を含む伴侶動物は気分の向上や孤独感の低さと関連していました。

この調査は飼育と幸福度の関連を示すもので、猫を飼うことが幸福度を高めたと因果関係を確定する設計ではありません。国別分析、因果関係の推定を試みた研究、横断調査では、答えられる問いが異なります。