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AIサーバー向け基板に生産が集中

AIデータセンター向けの需要が高まり、PCの部品を載せるプリント基板も供給不足に陥っています。基板メーカーの工場では、より高価で製造に時間がかかるAIサーバー用の基板が優先され、PCメーカーの注文が後回しになっています。半導体やメモリーに続き、基板もPCの供給を左右する部材になっています。

HPとDellの幹部は、2027年向けの製品計画に必要な基板を確保できるか懸念しています。出荷台数が翌年も減る可能性があるなか、米国のPCメーカーの担当者は、現在も必要な基板を十分に調達できていないと述べています。

AIサーバー用の高性能基板は、低損失の積層材や特殊なガラス繊維を使い、数十層を重ねる構造です。一枚の基板が多くの材料と工場の稼働時間を必要とするため、PC向け基板と同じ生産能力を取り合う状況が生じています。

高速信号を支える低損失材料

基板の積層材は、配線を通る信号の損失や伝わる速さに関わります。一般的なFR-4はエポキシ樹脂とガラス繊維を使う材料で、低コストで加工しやすい一方、10GHzでは誘電正接(Df)が約0.018〜0.025とされます。

Dfは、信号のエネルギーが材料内でどれだけ失われるかに関係する値です。信号周波数が高くなると、標準的なFR-4では損失が大きくなり、AIサーバーのGPUやスイッチ間を結ぶ高速通信に必要な信号品質を保ちにくくなります。

低損失積層材は、信号の損失を抑え、基板内で高速伝送するために使われます。Megtron 7のDfは10GHzで約0.002とされ、FR-4のDf約0.020と比べて、同じ条件での誘電損失を抑えられます。高速信号を通す層にこうした材料を使うことが、AIサーバー基板の設計を複雑にする一因です。

一般的な基板より多い層と工程

AIサーバー用基板は、GPUやメモリー、高速インターフェースを密に接続するため、一般的なサーバー基板より多くの層を使う場合があります。標準的なサーバー基板は8〜16層、AIサーバー用は16〜32層以上です。

配線密度を高めるため、AIサーバー用では微細な穴や基板内部の層をつなぐ構造も使われます。レーザー穴あけや層間の位置合わせ、積層の制御などが必要になり、標準的な多層基板より製造工程の管理が複雑になります。

材料も一枚の基板全体に同じものを使うとは限りません。高速信号を通す層には低損失材を使い、電源やグラウンドなど別の層には標準的な材料を組み合わせる構成があります。こうした基板では、材料の選定に加え、層ごとの設計と製造条件の調整が必要です。

納期と価格への波及

基板の材料となる銅張積層板について、台湾のPCメーカーは価格が7月の少なくとも12倍になったと話しています。大手積層材メーカーの受注は2030年まで続いています。2028年までに生産能力を3倍にする計画があっても、短期の供給増にはつながりにくい状況です。

基板メーカーの納期も延びています。一部製品では納期が従来の2倍になり、今発注しても2028年後半まで届かないというメーカーもあります。新工場の建設だけでなく技術者の確保も課題で、基板業界では賃金が20〜30%上昇したとされています。

影響はPC以外にも及んでいます。カメラや医療機器を手がけるCanonでは、基板と搭載部品の不足で8月から生産に遅れが出ており、今年の医療機器の売上高は約900億円減る見通しです。PCではメモリーやストレージの価格上昇も続き、Gartnerは2028年までに500ドル(約7万9,000円)未満のPCが姿を消す可能性を見込んでいます。