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写真: Bxalber / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

Binanceは、10月29日に発生した約63億ドル(約9,900億円)相当の暗号資産盗難について、必要な資産の約90%を補填したと発表しました。残る約10%は調達に時間がかかる可能性があり、同社は11月1日の出金再開を目指しています。

補填は主要10銘柄で完了

Binanceは、盗難による金銭的影響を利用者に負わせず、自社で負担するとしています。補填には利用者向けの保護基金「SAFU」、先物保険基金の一部、企業資金を使っています。

ビットコイン、イーサリアム、テザー、BNB、ソラナ、USDC、XRP、USD1、RLUSD、ZECの10銘柄は、保有分の100%が裏付けられたとBinanceは説明しています。 残る資産は上位10銘柄以外が中心で、流動性が低く、必要量の調達に時間を要する可能性があります。

Binanceは不足分の調達を続け、全銘柄で補填率を100%にする方針です。 The Vergeも、残る10%は流動性の低いトークンで、同社が取得に時間を要する可能性があると伝えています。

出金再開は11月1日を予定

Binanceは、セキュリティ確認を条件に、11月1日までに利用者向け出金サービスを再開する目標を示しました。 BBC News Worldも同日中の再開を目指していると伝え、詳細が確定した段階で追加情報を出す予定としています。

The Vergeが伝えたBinanceの案内でも、出金は一時停止中で、11月1日の再開を目指すとしています。 Binanceは攻撃の調査を続けながら、再開に向けて安全確認を進めています。

盗難の経路について、Binanceの初期調査ではエンジニアのノートPCが侵害され、サービス用コンテナを通じて不正な出金が実行された可能性が挙がりました。 その後、共同CEOのリチャード・テン氏は、単独のエンジニアの権限悪用ではなく、より複雑な手順だったと説明しています。

FBIは北朝鮮の関与を公表

米連邦捜査局(FBI)は10月31日、北朝鮮がBinanceから60億ドル(約9,400億円)超の仮想資産を盗んだと発表し、この活動を「TraderTraitor」と呼びました。 FBIによると、攻撃者は盗難資産の主な移動先をイーサリアムにしており、分散型金融(DeFi)や即時交換サービスを使った資金洗浄が続くと見込まれています。

FBIは、ブロックチェーン運営者や暗号資産サービス事業者などに対し、関係アドレスからの取引を遮断するよう呼びかけました。 盗難資産の一部は、法執行機関や民間企業との連携により凍結されています。BBC News Worldは、Binanceが10月30日に約30億ドル(約4,700億円)相当を凍結したと伝えています。

ITmedia NEWSが紹介した分析では、TRM Labsは流出が10のブロックチェーンに及び、約20分間で大半の資産が移動したと推計しています。 同社は、攻撃前の準備や資金移動のパターンが北朝鮮に関連する過去の攻撃と一致すると評価しました。 Chainalysisは、今回の盗難資金と9月のBitget事件の資金がブロックチェーン上で混ざっていたと報告しています。

過去の取引所盗難を上回る規模

今回の約63億ドル(約9,900億円)の被害額は、過去の大規模な暗号資産盗難と比べても大きく、2025年のBybit事件で盗まれた約15億ドル(約2,400億円)の約4倍に当たります。 CryptoTickerがまとめた過去の事件では、2022年のRonin Networkは約6億2,000万ドル(約970億円)、2021年のPoly Networkは約6億1,000万ドル(約960億円)の被害でした。

Al Jazeeraも、Bybitの約15億ドル(約2,400億円)がそれまでの暗号資産盗難の記録だったと報じ、Binanceの被害がその規模を大きく上回るとしています。 同媒体が紹介したTRMの2026年版暗号犯罪報告によると、2025年には約150件のハッキングで計28億7,000万ドル(約4,500億円)相当の暗号資産が盗まれました。

CryptoTickerは、今回の攻撃でBinanceのホットウォレットから約28億ドル(約4,400億円)相当が数分のうちに移動し、攻撃者がEIP-7702を通じてウォレットを自身のコントラクトに結び付けたと説明しています。 同社の集計では、TetherとCircleは約24億ドル(約3,800億円)相当のステーブルコインを凍結しました。 これらは盗難全体の約63億ドル(約9,900億円)とは異なる、特定ウォレットからの移動額と凍結額です。

今回の盗難額を約63億6,000万ドル(約1兆円)とするTRM Labsの推計もあり、Bybit事件の約4倍という比較が示されています。 CryptoTickerの過去事例の一覧には、2019年のBinance事件で盗まれた7,000 BTCをSAFU緊急基金で補填した記録もあります。 今回もBinanceは同基金を補填に充てており、残る資産の取得と出金再開に向けた対応を続けています。