
Ghostscriptの10.08.0より前のバージョンに、細工したPDFからの任意コード実行と、Windows版での権限昇格につながる脆弱性が見つかりました。修正は2026年9月のアップデートで提供されており、2件は原因や攻撃条件が異なります。GhostscriptはPDFやPostScriptを解釈し、描画や変換に使われるソフトウェアです。
JPEG 2000画像の処理でメモリ破壊
CVE-2026-39919は、JPEG 2000画像を含むPDFの処理に関わるヒープバッファオーバーフローです。画像の各コンポーネントで解像度が異なり、サンプル精度が8ビット未満の場合、確保した領域を超えてデータが書き込まれます。
この書き込みによってメモリが破壊され、細工したPDFを処理させると任意コードを実行されるおそれがあります。脆弱性データベースでは、影響対象を10.08.0より前のGhostscriptとしています。
この脆弱性の深刻度は、CVSS v3.1で9.8、v4.0で9.3とされ、いずれも「クリティカル」です。
Windows版では別の権限昇格も
CVE-2026-19547は、Windows版におけるPostScriptリソースファイルの検索処理に起因します。認証済みのローカルユーザーが特定のディレクトリに不正なファイルを置くと、別のユーザーやサービスがGhostscriptを起動した際、そのプロセスの権限でコードを実行されるおそれがあります。
この攻撃では、不正なファイルを配置するローカルユーザーと、その後にGhostscriptを起動する別のユーザーまたはサービスが関わります。JPEG 2000画像を含むPDFを処理させるCVE-2026-39919とは、脆弱になる処理と成立条件が異なります。
CVE-2026-19547のCVSS v4.0スコアは7.0で、重要度は「高」です。両脆弱性は10.08.0より前のバージョンに関するものとして公表され、2026年9月のアップデートで修正されました。
文書変換や他ソフト経由の処理にも関係
Ghostscriptは単独のコマンドラインソフトとして動作するほか、アプリケーションに組み込むSDKとしても利用できます。PDFの変換や圧縮、プレビュー画像の生成、文書管理システムなどに使われます。
GhostscriptはPDFやPostScriptなどの文書形式を解釈するソフトウェアです。CERT-EUは2018年の注意喚起で、GhostscriptがOSやソフトウェア群、ライブラリに組み込まれ、デスクトップソフトやWebサーバーで文書を扱う環境があると説明しました。
同じ注意喚起では、ImageMagickがPostScriptの処理にGhostscriptを標準で利用すると記載されています。そのため、利用者がGhostscriptを直接起動しなくても、他のソフトが文書を処理する経路で関係する場合があります。
-dSAFERは万能の防御ではない
Ghostscriptには、PostScriptコードによる危険な操作を制限する「-dSAFER」モードがあります。Red Hatが扱った別の脆弱性CVE-2024-29510では、PostScriptコードによるコマンド実行や任意ファイルのオープンを防ぐ機能として説明されています。
同件についてRed Hatは、起動時に「-dSAFER」を指定すると、初期化後にセキュリティ関連の変数を固定し、脆弱な文字列処理の問題を防げるとしています。RHEL 9ではこのモードが既定で有効で、RHEL 7と8では起動時に指定する必要があるとの説明です。
一方、別の脆弱性CVE-2026-101258では、細工したPostScriptやEPSの処理時に「-dSAFER」を迂回し、Ghostscriptプロセスの権限でシェルコマンドを実行できる問題が記されています。これは今回の2件とは別の脆弱性です。










