Google DeepMindは、操作に応じて変化する仮想世界を生成するモデル「Genie 4」を発表しました。天候やカメラ位置を自然言語で変えられ、環境音や会話もリアルタイムに生成します。現在は信頼できるテスター向けの研究プレビューで、Google AI Ultra利用者やGemini API、Google AI Studioの早期アクセスパートナーへの提供も予定されています。
Genie 4が生成する世界と音声
Genie 4は、ユーザーがキーボードで移動や視点を操作し、テキストで場面を変えながら探索する世界モデルです。自然言語で天候を変えたり、新しい人物や物体を加えたりすると、周囲の場面に合わせてシミュレーションを更新します。入力の合間にも場面の進行を調整し、一貫性を保つ仕組みを備えます。
音声は後から付けるのではなく、世界の生成に合わせて出力します。風や波などの環境音、音楽、登場人物との対話が含まれ、会話はユーザーの操作や世界内の出来事に応じて変化します。Google DeepMindは、Genie 4を音声をネイティブに生成するリアルタイム世界モデルと位置づけています。
Google DeepMindは、Geminiファミリーの能力を組み合わせ、現実世界の見た目や振る舞いをシミュレーションに反映し、場面の連続性を支えると説明しています。また、空気力学や衝突などの物理現象、人の自然な動きや環境への反応も改善点に挙げています。公開デモには、湖上の人物や気球、列車駅など複数の場面が含まれます。
Genie 3から広がった操作と生成時間
前世代のGenie 3は、テキストから動的な世界を作り、毎秒24フレーム、720pでリアルタイムに移動できるモデルとして発表されました。Google DeepMindは、操作に応じて進路を生成し、物理や環境との相互作用をシミュレートすると説明していました。Genie 3は一貫性を保ち、数分間にわたるシミュレーションも可能とされていました。
一方、2026年1月に米国のGoogle AI Ultra利用者向けに展開されたProject Genieは、Genie 3などを使う実験的なウェブアプリです。テキストや画像から世界を作り、リアルタイムに探索し、既存の世界を編集できます。Project Genieには生成時間が最大60秒であるなどの制限があり、モデルとして発表されたGenie 3の性能説明とは対象が異なります。
Genie 4では、場面を動かしながら自然言語で編集する機能と音声生成が加わりました。The VergeとTechCrunchは、Genie 4が最大約2分間の一貫した体験を生成し、Genie 3の約1分から延長したと報じています。ただし、長時間の生成では細部や物体の状態が変化する場合があります。TechCrunchは、音声の正確さや場面内の文字の読みやすさにも課題があると伝えています。
ロボット訓練への活用と物理精度の課題
Googleは、世界モデルがロボットやAIエージェント向けの訓練環境になり、創作分野のツールにもなるとしています。TechCrunchは、Gemini Roboticsに関連する実験で、モデルがタスクを手順に分け、Genie 4がその進行をリアルタイムでシミュレートしたと報じました。この事例は、実環境で試す前にロボットのシナリオをシミュレーションする可能性を示しています。
従来のロボット向け物理シミュレーターは、物体や環境の状態を数値的に計算します。これに対して生成型の世界モデルは、操作に続く視覚的な場面を生成します。GAUGEと呼ばれるベンチマーク研究は、物理シミュレーターと動画型世界モデルの双方を実測値と照合し、衝突、摩擦、運動量、変形などを評価する枠組みを提示しました。
同研究は、評価した動画型世界モデルが物理法則に沿う形の軌跡を生成しても、加速度や運動量の移り方、振動のタイミングを誤る場合があると報告しています。また、見た目の再現性だけでは物理的な正確さを判断できないと論じています。この研究はGenie 4自体を評価したものではありませんが、ロボット訓練に世界モデルを使う際、見た目の自然さと運動の正確さを別々に確かめる必要性を示す比較材料になります。











