Google introduces new TPUs at Cloud Next ‘26
出典: blog.google

Oracleは、クラウドサービス「OCI(Oracle Cloud Infrastructure)」にGoogleのAI向け半導体TPUを導入し、2027年に提供を始めると発表しました。顧客の需要に応じて、その後数年かけて導入規模を広げる予定です。

OracleがOCIの計算装置にTPUを追加

OCIではこれまで、NVIDIAのGPUに加え、AMDのAI向けGPU「Instinct」シリーズも採用してきました。今回の発表で、Googleが開発するTPUが選択肢に加わります。Oracleは特定のプロセッサメーカーに依存しない方針を掲げています。

TPUの提供開始は2027年の予定です。その後の数年間は、顧客の需要に応じて導入規模を拡大するとしています。

Googleは2026年4月に第8世代の「TPU 8t」と「TPU 8i」を発表しました。

AI計算の費用をめぐりGPU以外にも関心

フロンティアAIモデルを使うサービスでは、推論時に処理するトークンが増えることで、必要なCPUやGPUの増強が課題になっています。設備の購入費に加え、電力やデータセンターの運営、冷却にかかる費用も運用コストに含まれます。

従量制で提供されるAI機能では、利用量に応じて計算資源が必要になります。そのため、クラウド事業者やSaaS事業者にとって、計算性能だけでなく、設備導入費と継続的な運用費もサービス設計に関わります。

こうした状況を背景に、Google TPUやAWS Trainiumなど、GPU以外のAIアクセラレータも推論時のトークンコストを抑える手段として取り上げられています。Microsoftも、自社開発の「Maia 300」を2027年から順次投入する方針を発表しています。各社が独自チップを用意する中、OracleはGoogle製チップを自社クラウドの利用者に提供する計画です。

TPUは行列演算に特化した設計

TPUは、Googleが機械学習向けに設計したASIC(特定用途向け集積回路)です。ニューラルネットワークで多用される行列演算を中心に処理し、PyTorchやJAXなどのフレームワークで機械学習の処理を実行できます。

TPU内部では、積和演算器を多数つないだ「シストリックアレイ」と呼ばれる構造が使われています。演算に使うデータは高帯域幅メモリ(HBM)から行列演算ユニットへ読み込まれ、計算結果は次の演算器へ渡されます。この行列演算の途中ではメモリアクセスを必要としない構成です。

GPUは多数の演算器で並列処理を行い、行列演算にも適しています。一方、GPUはさまざまな用途を支える汎用プロセッサであり、演算ごとにレジスタや共有メモリを使ってデータを読み書きします。TPUはニューラルネットワークの行列処理に対象を絞った設計で、汎用性の広さより、その処理に合わせた構造を採っています。

コスト面の効果は実際の提供条件が焦点

TPUはGPUより初期コストが低く、電力効率が高いとされています。GoogleやNVIDIAは具体的な価格やコストモデルを明らかにしていません。OracleはOCIでの利用料金を発表していません。

OracleはTPUを推論に使うことで、フロンティアAIモデルのトークン処理にかかるコストを下げられる可能性を見込んでいます。これは発表時点で示された見通しであり、実際の効果は利用するモデルや提供構成、料金などに左右されます。

TPUの世代、利用規模、料金、利用可能なソフトウェア環境は、顧客が採用を検討する際の具体的な条件になります。