
Quake AIが想定する「エージェントが使うクラウド」
Quake AIは、AIエージェントが自律的に計算資源へアクセスしやすくするAPIの開発を進めています。人が画面を操作する前提のクラウドではなく、エージェントがデータやAPIを通じて計算資源を利用する形を目指しています。
Quake AIは、Rumbleが6月にドイツのデータセンター運営会社Northern Dataを買収した後に設立されました。親会社のRUM Groupの傘下にあり、Nvidia Cloud Partnerとして2万2,000基のGPUを運用するネオクラウドです。
RUM Groupの最高財務責任者マイク・マッシー氏は、エージェントは視覚的な画面ではなくAPIや情報を通じてシステムとやり取りすると説明しています。同社は、人向けのダッシュボードやワンクリック設定より、性能や稼働時間などの条件を機械が理解できる形で示すことを重視しています。
APIでブラウザー操作の計算負荷を抑える構想
Quake AIのジョン・ホフマンCEOは、ピザを注文するAIがウェブサイトの検索欄を使い、商品を選んで注文操作を進める例を挙げました。同氏は、画面を人のように認識して操作するより、注文先が問い合わせ可能なAPIを用意すれば、必要な情報に直接アクセスできると述べています。
Quake AIは、APIを使う方式なら、その注文例で使う計算量をブラウザー操作方式の千分の一にできると主張しています。この値は同社の見積もりで、APIを通じて生データを取得する構想を示しています。
サービス間で認証やリクエスト、応答の形式をそろえると、個別の処理を作り込まずに複数サービスで自動化を再利用できます。操作を繰り返しても資源を重複作成しない冪等性や、処理中・利用可能といった状態の明確化も、自動実行の安定性を支えます。エージェントが計算資源を使う場合も、一貫したAPI応答や状態情報が次の処理を判断する手掛かりになります。
GPU貸し出しから上位サービスへ広がる動き
ネオクラウドは、AI向けGPUを貸し出す事業者として広がりましたが、GPU提供だけでは価格競争に陥りやすいとMcKinsey & Companyは分析しています。同社は、学習の調整、推論基盤、特定業界向けの仕組み、開発者向けツールなどへサービスを広げることが、差別化や顧客維持につながる可能性を示しています。
ChronoScaleは、GPUの時間貸しに加え、前払い式の推論トークンや、顧客の環境内でエージェントを動かす管理プラットフォームを用意しています。Nutanixとの提携で、顧客管理やサービス自動化、Kubernetes環境の管理にも対応する計画です。
顧客が予測しやすい処理にはGPU提供を使い、需要が変動する処理にはオンデマンド推論を使うなど、利用形態に応じてサービスを組み合わせる例があります。
事業拡大を迫る市場の不確実性
ネオクラウドの事業拡大には、設備投資を回収できるかという課題があります。Gartnerは、2026年にAI事業者が約1兆ドル(約160兆円)をAIインフラへ投じ、2027年から2030年にはさらに6兆ドル(約950兆円)を投資すると見込む一方、同期間のAI関連収入は投資に見合わないと予測しています。
Gartnerは、2030年を超えて独立企業として存続できないネオクラウドが80%に達するとも予測しました。McKinsey & Companyも、GPUの利用率や貸出価格が少し下がるだけで、GPU貸し出し事業の採算が大きく損なわれる可能性を指摘しています。
サービスを上位へ広げるには、ハイパースケーラーとの競合も生じます。McKinsey & Companyは、管理サービスや推論基盤の構築が大規模な資金や人材を要し、ネオクラウドの主要顧客であるハイパースケーラーと競う構図になると分析しています。











