米国のAI企業Reflection AIは10月5日、初のオープンウェイトモデル「Beam」を紹介し、同月中に重みや技術文書を公開する予定を示しました。企業や公的機関が独自データで調整するAI基盤を目指しており、OpenAIやAnthropicのサービスと競合する事業を進めています。

Beamの重みと技術文書を10月中に公開

Reflection AIは、Google DeepMindの元研究者2人が2024年に設立した企業です。同社が構想する「AIファクトリー」は、企業や国家がReflectionのモデルを独自データで学習させ、自らの環境で使うAIシステムを構築するための製品です。韓国の新世界グループとは、国家向けAIファクトリーの提携構想をすでに試験しています。

Beamはテキストを扱うモデルで、プログラミング、推論、ツールを使って複数の作業を進めるエージェント用途に重点を置いています。Reflectionは最終段階のレッドチーミング、つまり攻撃的な入力などで安全性を検証する試験と評価を進めています。重みに加え、技術報告書、モデルの特性を記すモデルカード、開発者向けの関連ファイルを10月中に公開する予定です。

大規模クラウド事業者やAI向けクラウド事業者を通じた配布と、公開時のオープンソースライブラリーへの統合を予定しています。

総パラメーター5010億、効率性は自社評価

Beamは、処理ごとにモデルの一部を動かすMixture-of-Experts(MoE)方式を採用しています。学習で調整される数値であるパラメーターは総数5010億、処理時に使う数は230億です。事前学習には、ウェブやライセンスを取得したデータセットなどから集めた23兆8000億トークンを使いました。トークンは、モデルが文章を処理する際の単位です。

Reflectionは、試行結果への評価を通じて能力を高める強化学習にも大規模な計算資源を投入しました。NVIDIAのGB300 GPUを1万500基使い、4週間で1億回を超える試行を生成したとしています。また、推論にかける労力の設定によって、短い応答を優先するか、難しい課題に長い推論を使うかを調整できます。

性能についてReflectionは、高度な推論の評価テストで中国Z.aiのGLM-5.2と同程度のスコアを、3〜4分の1の推論計算量で得たとしています。一方、Kimi K3などが純粋な能力では上回ることも認めています。TechCrunchは、Reflectionの性能に関する主張が独立した検証を受けていないと指摘しました。

この計算量比較は、処理時に使うパラメーター数と生成トークン数から算出した推定値です。入力を最初に処理する計算、文脈の長さに応じた処理、サービス運用上の追加負荷は含まず、実測した推論費用の比較ではありません。

公開された重みでできる改変と、オープンソースとの違い

Beamが掲げるオープンウェイトとは、学習済みのパラメーターを公開する方式です。公開された重みはライセンスの範囲でダウンロードし、自社環境で動かしたり、追加学習で業務向けに調整したりできます。

重みの公開は、学習データや学習コードまで公開することとは異なります。オープンウェイトでは、それらが非公開のままの場合があり、重みを入手しただけで元の学習工程を再現できるわけではありません。

公開された重みには、追加学習のほか、数値の精度を下げてモデルを軽量化する量子化や、大きなモデルの振る舞いを別のモデルに学ばせる蒸留を適用できます。ただし、商用利用や改変後のモデルの配布条件はライセンスに左右されます。

自社運用の費用はGPUと利用量、人員で変わる

企業がBeamのようなオープンウェイトモデルを自社で運用する場合、費用はGPUの確保だけでは決まりません。推論用ソフトウェアの設定、監視、更新、性能調整を担う人員や、使われていない計算資源の費用も総費用に含まれます。外部事業者のサーバーへ要求を送るAPI方式では利用量に応じた料金が中心となり、自社運用では確保した設備の稼働率が単位当たりの費用を左右します。

利用量が少ない場合、運用人員などの費用がAPI料金との差額を上回ることがあります。継続的な利用量が増え、設備を十分に使える場合には、自社運用の費用面での条件が変わります。Beamの推論計算量に関する自社評価と、企業が実際に負担する運用費用は異なる指標です。

中国製モデルとの比較でも、データの処理場所が分かれる

Reflectionは米国でオープンモデルを開発し、中国の開発企業が提供するモデルに対抗する方針を掲げています。ただし、企業データの扱いは、モデルの開発国に加え、外部APIを使うか、自社環境で動かすかによっても異なります。

中国企業のホスト型APIやアプリでは、入力した内容が提供企業のサーバーで処理されます。一方、公開された重みを外部通信のない自社環境で実行する場合、推論のために入力内容をモデルの開発元へ送る必要はありません。これは、Reflectionが掲げるローカルな独自AIシステムと共通する運用上の特徴です。

自社運用でも、学習時に形成された応答の偏りや、安全対策の特性はモデルに残ります。また、ログ、アクセス制御、監査などの管理は運用側が担います。