SpaceX - Starlink Mission
出典: spacex.com

StarlinkとStarshieldで高速通信が復旧

ウクライナ国防相のイェウヘン・フマラ氏は、StarlinkとStarshieldの通信が安定し、時速400kmを超えて移動する機器でも接続できるようになったと述べました。ウクライナのゼレンスキー大統領も、通信速度が必要な水準に戻ったと投稿しています。

ウクライナ側は、それまで高速で移動する機器の通信に制限があり、ドローンの運用や前線の通信、兵站に影響していたと説明していました。フマラ氏は、国防省の監視システムで安定した接続を記録したとしています。

SpaceXのイーロン・マスク氏は、同社が先週Starlinkの利用を制限したと認めました。

マスク氏が示した利用規約の線引き

マスク氏は、民間向けサービスのStarlinkを人を殺害する攻撃用ドローンに使うことは認められておらず、ウクライナ軍が規約に違反したため、その利用上の抜け道を閉じたと主張しました。同氏は、軍事関連のインフラにStarlinkを使うことは可能でも、反撃を招く明白な攻撃には使えないとの考えも示しています。

ウクライナ大統領顧問のセルヒー・ベスクレストノフ氏は、ウクライナでStarlinkを使うドローンには時速70〜90kmの速度制限があり、ロシア領内では動作しないと述べました。そのため、商用Starlinkをロシア奥地への攻撃に使うことはできない、というのが同氏の説明です。

マスク氏の規約違反の主張と、ウクライナ側が説明したドローンの速度・利用範囲には食い違いがあります。ウクライナ国防省は今回の制限について、ロシアの攻撃への対応やドローン任務、通信、兵站に影響したと説明していました。同省は復旧後もシステムの稼働を監視するとしています。

商用Starlinkと政府向けStarshield

Starlinkは、SpaceXが運営する個人や企業向けの衛星インターネット網です。ウクライナ軍は、特に前線の遠隔地で部隊間の連絡や調整に利用しています。一方、Starshieldは政府・軍事向けで、ウクライナではドローン操縦者が目標をリアルタイムで確認したり、迎撃ドローンを運用したりする通信に使われています。

Starshieldは一般には提供されず、専用端末と強化された暗号化を用いる、より安全性を重視した仕組みです。その衛星数はStarlinkより少なく、Starlinkの衛星網を通信基盤として利用しています。両サービスは用途や端末が異なる一方、衛星網の基盤を共有しています。

マスク氏はStarshieldを米政府が所有・管理する別のシステムと説明し、運用上の判断は米政府側にあるとの見解を示しました。StarshieldはSpaceXが開発・供給し、米政府が契約を通じて調達する仕組みです。ウクライナの利用料は米国防総省が負担し、米国のほか英国とウクライナも利用しています。

制限をめぐる説明と外交上の経緯

通信の制限が判明した当初、マスク氏は意図的な速度制限を否定し、米政府が関与したとの見方を示していました。トランプ大統領も、当初は制限を指示していないと述べた一方、その後、マスク氏に通信を復旧するよう求めたと話しました。今回、マスク氏はSpaceXが制限を実施したと認めています。

制限が表面化した時期は、ウクライナによるロシアの石油関連施設への攻撃をめぐり、米国とウクライナの間で緊張が高まっていた時期と重なります。トランプ氏は、攻撃が世界の燃料価格を押し上げたと述べ、ゼレンスキー氏は、米国が情報共有を打ち切る可能性にも言及していました。ただし、マスク氏はSpaceXが先週制限を加えた理由を明らかにしていません。

ウクライナ側は、以前は通信が時速161kmを超えると切れると説明し、復旧後は時速400km超で安定した接続を記録したとしています。