Thrive Holdings x ADT
出典: thriveholdings.com

1株10ドル(約1,600円)の現金買収で合意

Thrive Holdingsは、米国の住宅・小規模事業者向けセキュリティ企業ADTの買収で合意しました。ADTの株主には1株当たり10ドル(約1,600円)が現金で支払われます。取引額は株式価値で約76億ドル(約1兆2,000億円)、企業価値で153億ドル(約2兆4,000億円)です。取引完了後、ADTは非公開会社となり、ニューヨーク証券取引所での株式売買は終了する予定です。

1株10ドル(約1,600円)は、ADT株の2026年10月27日の終値6.87ドル(約1,100円)に対して45.6%の上乗せです。10月27日までの30日間の出来高加重平均株価に対しては52.1%の上乗せとなります。ADT取締役会は全会一致で契約を承認しました。

買収完了は2027年第1四半期の見込みです。ADT株主と米国の反トラスト当局の承認などが条件となります。資金調達の確約はApollo Global Managementの関連会社が運用するファンドから提供されており、契約に資金調達を条件とする条項はありません。

株式価値と企業価値が示す範囲

株式価値は株主が保有する株式の価値を示し、企業価値は現金や負債などを含めて事業全体を捉える指標です。企業価値から株式価値を算出する際は、一般に現金を加え、負債を差し引き、実際の運転資本と標準的な水準との差を調整します。

そのため、ADTの取引で示された株式価値約76億ドル(約1兆2,000億円)と企業価値153億ドル(約2兆4,000億円)は、同じ範囲を表す金額ではありません。企業価値と株式価値の差は、現金や負債、運転資本などの扱いによって生じます。

長期保有と技術投資を掲げるThrive Holdings

Thrive Holdingsは、企業を長期保有し、技術を通じて事業の能力を高めることを掲げる持ち株会社です。会計、ITサービス、建築環境関連の分野で75社超を保有しており、買収完了後のADTは、同社のスマートホームセキュリティ事業の基盤となる予定です。

Thrive HoldingsはADTの経営陣を支援し、製品、サービス、人材への継続投資を進める方針です。両社のエンジニアリングチームはADTの専門職と協力し、技術を製品やサービスに生かす機会を探るとしています。

OpenAIはThrive Holdingsのパートナー兼投資家で、傘下企業にAIモデルや技術、フォワード・デプロイド・エンジニアを提供しています。これは顧客企業の現場でエンジニアや実務担当者と協力し、AIシステムの開発・導入に取り組む技術者です。

完了まで独立運営、顧客データ方針は維持

取引完了までは、ADTは独立して事業を続けます。また、顧客データの保護とプライバシーに関する方針を維持し、顧客の許可なしに新たなデータ共有を行わないとしています。

契約には、ADTが他社からの買収提案を募る期間が設けられています。期間はニューヨーク時間の11月28日午後11時59分までです。初期期間中に買収提案を出した一部の相手には、10日間延長される可能性があります。ADTは条件に従い、より有利な提案を受け入れるために契約を終了できます。

ADTは2026年第3四半期の決算を11月3日の市場取引開始前に公表し、午前10時(米東部時間)に説明会を開く予定です。今回の取引を考慮し、説明会では質問を受け付けません。